通せんぼ横丁 公演情報 劇団芝居屋「通せんぼ横丁」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    人の出会いと別れを抒情豊かに描いた作品。日本のどこかでありそうな、そんな有り触れた風景、街を通して人情、家族愛が見える秀作。
    (上演時間1時間45分)

    ネタバレBOX

    舞台の両側に絵画遠近法のように立ち退きを余儀なくされた飲食店が並ぶ。中央に階段があり上部に堤防。河川柵が見える。

    梗概…港湾地帯に注ぐ河川の一帯に赤線時代の流れを汲む幾つかの飲み屋横丁、舞台はその横丁一つ「通せんぼ横丁」。この一帯の横丁が河川堤防のかさ上げ工事のため区画整理地区となり、立ち退き期限を迎えた。長年この通せんぼ横丁で働いて来た、店主は最後の恒例行事の宴を開くが…。

    この街の事情に絡め、ある家族、夫婦の愛憎が並行するように描かれる。夫婦とは、夫は芸術(画家)としての成功を誓い、妻は夫を支えると同時に家庭の安寧を求める。お互いに思い遣る気持ちにすれ違いが生じ離婚を決意した経緯がある。
    物語は、消えゆく街(横丁)と元夫婦の気持ちに歩み寄りが生まれるハッピーエンド。ラストの花火がそれを祝福し、店主達のそれぞれの道への応援歌(音)にも聞こえる、見事な余韻である。

    この芝居の圧巻は、元夫婦(増田再起サン、永井利枝サン)がお互いの気持ちを吐露するシーン。切々と訴える情感溢れる長台詞は見事。また横丁大家(阿野伸八サン)の挨拶に、先に記した元夫婦愛や街の移ろいを感じさせる名場面。そこに劇団芝居屋の「覗かれる人生劇」というコンセプト、登場人物の人間像がしっかり立ち上がった好例だと思う。
    一夜限り、横丁の店看板や窓に明かりが灯り、そして消えていくという明・暗が励みと虚しさを醸し出すという見事な演出であった。

    次回公演も楽しみにしております。

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    2018/11/18 16:57

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