われらの星の時間 公演情報 劇団俳優座「われらの星の時間」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    鑑賞日2018/11/15 (木) 14:00

    座席1階

    ラッパ屋の鈴木聡が脚本を書き、オフィスクレッシェンドの佐藤徹也が演出を担当。軽い認知症の高齢者5人が集団脱走し、ハロウィンの街を仮装して歩き回る、という物語。認知症の人が「ぼけている」とき、どういう思考回路になっているのかを分かりやすく提示している。認知症の人にどう接するかを一般の人が学ぶのに、とてもいい教材になっている。
    演出も見事だった。特によいのが、場面転換などの音楽にボレロを使っているところだ。最初はピアニシモから始まるボレロは最後、強烈な盛り上がりを見せて幕切れとなるのだが、この舞台も、物語と共にする音楽としてはまさにぴったりなのだ。
    最後の方で、タイトルの謎解きもされる。丁寧なつくりだった。
    介護や認知症問題を縦糸に、報道の在り方が横糸と成って紡がれる。テレビ局ではスポンサーや関係者に配慮して本当のことを伝える番組作りができなくなっているのかもしれないが、しがらみを振り切って新人ADとディレクターが奮闘する、という物語はそれなりにおもしろい。が、それが介護の物語と良好なパートナーになっているかという点では少し疑問が残る。これはこれで重要な問題だから、「報道の在り方」単独での舞台があっていいようなテーマだ。
    さすが俳優座だけに、高齢者から若者まで役者揃い。せりふもよく通るし、間の取り方もしっかりしていて安心してみていられる。俳優座は「七人の墓友」でも高齢者問題をうまく切り取って舞台化した。この作品も鈴木聡の書き下ろしだ。次作にも期待したい。

    終盤では感動で涙が出た。秀作だ。

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    2018/11/15 17:28

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