満足度★★★★
冷静な熱視線。
家族がテーマやツールとなる作品を描いてきた松井周。
今回の作品も家族がテーマであるからして、“松井の視線”に注目した。
実に鋭利な作品で、引きこもり・インセスト・親殺しと事件には事欠かない。
歪みがある家という空間を、実に気持ち悪く演出する。
長男の童貞的な妄想ぶりなど、松井脚本にも通ずるものがあるからか、
割とのめり込んだような演出を取ったのではないかと思われる。
特に冷静さを欠いていたとは思わないが、“冷静な熱視線”と言うべきか。
同世代の佳作に何を思ったのか、というものが作品に現れている気がする。
この作品のキーとなる、姉・野津あおい。妄想を具現化したような姉ぶり。
弟・菅原直樹は、まさに“アン・ファン・テリブル”そのもの。圧巻。