満足度★★★★
鑑賞日2018/10/07 (日) 19:00
座席1階
別役作品を竹下景子が鮮やかに演じた。
家財道具を積んだリヤカーを引いて、ひたすら歩き続ける老夫婦を含めた家族。途中で年老いた父が亡くなり、動かなくなったリヤカーを直しては進み続ける。後戻りをせず歩き続けたその先には。
別役氏がこれを書いたのはきっと、もっと前だろうから、強烈なラストシーンは今風のアレンジなんだろう。しかし、このラストは予想外だった。一定のスピードで静かに進んでいた舞台がちゃぶ台返しされたようだ。逆に言えば、そこまで我慢してこの不条理に耐える価値は充分にある。
さらに想像を巡らせれば、現実のこの世こそが別役氏の想像を超える不条理であるということが、痛烈なテーゼとして示される。
何も考えずに一つの方向に進み続けることの怖さを噛み締めたい。
このような別役劇を初めてみた。拍手を送りたい。