泡雪屋廻墾譚 公演情報 有末剛 緊縛夜話「泡雪屋廻墾譚」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★

    鑑賞日2018/11/02 (金) 15:00

    座席1階1列

    まず、ピアノと二胡の演奏に拍手。これは素晴らしいファクター。
    でも、「泡雪屋廻墾譚」という芝居で評価するとなると、どうかな。

    そもそも、この舞台は「泡雪屋」シリーズである前に「有末剛 緊縛夜話」であるということ。
    「泡雪屋」シリーズや前回の「銀河鉄道の夜」に言えることなのだが、そこのところをどう考えているのか?に思います。

    今回の芝居、確かに緊縛が3回(とはいえ、うち2回は緊縛と言うより縄による装飾)出てきます。うち2回は、娼婦たちの関係性や心情を描く、複数人をゆるく縛るというもの、あと1つは主人公の心理的な呪縛を象徴するような、本格的な縛りでした。

    確かにこの3つの緊縛は、舞台装置としては有効な手段であることは認めます。
    また、「緊縛夜話」のコンセプトは、緊縛を用いた様々な舞台表現を追求することですから、こうした手法自体は問題ないと思います。しかし、これでは「有末剛」という看板で舞台をやることの意味がありません。今回もですが、有末さんは単なる裏方、あるいは小道具係に過ぎません。

    有末氏に舞台上で縛りをしてもらうのは、役名がなかろうが、不可視な存在であろうが、役として緊縛に携わってもらうことでこそ「有末剛 緊縛夜話」であるはずです。

    例えば、緊縛夜話 第十二夜「緊縛ドラマチックvol.3」では、夜間ビルを回る清掃員でした、彼はOL達を次々と緊縛していきます。OL達は、不倫、横領、同僚へのいじめ、など、昼の明るい笑顔や控えめな言葉遣いとは違う実の顔を持っており、一方清掃員は、いつからその仕事に就いたのか、素性も名前も誰にもわかりません。
    そうした存在が、清掃用具を持ち歩き、音も立てずに徘徊する姿は、その後の緊縛情景と相まって見事なスリラーになっていました。
    あるいは、第十五夜 「盲獣ーあなたの世間に唾を吐くー」 では、映像でリアルタイムの緊縛を流すといった画期的な演出(良し悪しはともかく)でしたが、そこではめくら自身の妄想の世界を視覚化する司祭のような存在でした。スクリーンに映し出される有末氏の緊縛は、実はめくらから伝播した観客自らの妄想でもあったのです。

    このように、有末氏が存在として緊縛をする意味を、劇中に設けなければ、この緊縛夜話の企画の意味はないように思われるのですが、いかがでしょうか。

    なお、舞台としては特に観るものはありません。
    殺される絵師の存在感もやたら薄いので、殺されても感慨がないですし。
    ずーとテーブル上で流されるゲーム映像も、どうも廓の風情を壊しているだけ。
    水着場面も、全員でもなく半端感が、尋常ではありません。

    ただし、ラスト、燃える泡雪屋で死に水槽に俯せになったままの夢乃屋毒花さん、
    息ができなくて死ぬんじゃないかと思わせた女優魂には拍手(ってでも、舞台を評価して欲しいですよね、ごめんなさい)。

    ネタバレBOX

    平日のマチネだけれども、緊縛夜話ってこんなに空いていたっけという入り。
    このシリーズは老若男女に幅広く人気があり、割とご年配のご夫妻や、着物を着た妙齢の女性なども来られるのだけれど、そういう方いなかったなあ。

    失礼を承知で言うけれど、以前の泡雪屋作品を観て、一定の層が今回避けたことも考えられる。確かにこうしたテイストは耐え難いだろうからなあ。

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    2018/11/05 15:24

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