満足度★★★★★
鑑賞日2018/10/28 (日)
紀伊國屋ホールにてトム・プロジェクト「男の純情」を観劇。
とあるマンションの一室で繰り広げられる50代男性3人の会話劇。全くの赤の他人であったはずの男性3人に共通しているのは、いずれも年齢が50代であるということと、同じ女性を愛しているということ。複数の男性が同じ女性を好きになるということはシチュエーション的には実際にあり得る状況なのかもしれませんが、今回の作品で面白かったのは男性3人が同じ時間(夜)、同じ場所(好きな女性が住むマンションの一室)で出会し、バトルを繰り広げるという展開でした。実際であれば殺人事件などにも発展してもおかしくない緊迫した状況のはずですが、今回の物語では何となくほっこりするような可愛らしいバトルが展開され、特定の誰かを応援・支持するというよりは3人とも恋を叶えて欲しいと思えるような感情が沸いてきました。それはやはり3人ともピュアな心を持っているキャラクターであったからなのではないかと感じています。とにかく宇梶剛士さん、山崎銀之丞さん、市川猿弥さんの実際の風貌やキャラクター性とよくマッチした登場人物の設定が素晴らしい。3人とも見事なハマり役だったと思いますし、お三方の演技力の高さが非常に際立っていたような印象を受けました。中でも山崎銀之丞さんは個人的にテレビドラマ「3年B組金八先生」でのイメージが強く残っていましたが、ドラマでの役と被るような棘のある演技も光る一方で、1人の女性を愛する純粋な中年男性の心情を上手く表現した演技が素晴らしいと感じました。宇梶さんの強面ながらもチキンぶりを発揮するキャラ、市川さんのいじられキャラっぽい外見ながらも実はとても誠実でしっかりしているキャラも観ていて飽きなかったです。
何日にも渡るお話ではなく、1日どころか、僅か3時間程度の時間経過の中で沸き起こるバトルのお話。二転三転するような展開もあり、とても面白かったです。結末もまぁベストの終わり方なのかなと感じました。