満足度★★★
会場に着くとママ友仲間と談笑中の岡田美里さんの姿が目に入った。調べてみると主役アイリスを演じる堺小春さんのお母さんだったのだ。ああそれで「堺」さんなのかと合点した。
その小春さん、自信に溢れていて不安なところは何もなかった。贅沢を言うと、こちらが思わず助けたくなるような弱々しさも見せてほしかった気がする。
金魚の生まれ変わりのローレンスと登場人物との会話はローレンスが(元が金魚なので)言葉が不自由でしばしば噛み合わない。そこだけを取り出すと禅問答か不条理劇となるのだが、全体のストーリーは明確で理解は難しくない。話の始まりは「突然やってきた金魚の精ローレンスはアイリスの両親の危機を救うことができるのだろうか…」となってまるでメリー・ポピンズだがローレンスは超能力どころか会話も満足にできないので結果はまるで違ってしまう。
しかし、こういう演劇はどう楽しんだら良いのだろうか。全体のストーリーには特に見るところはないので部分的な味わいとなるのだろう。単純な言葉遊びやコミカルな動きもあったが、そんなに面白いものではなかった。何度も気を取り直してポイントを探ったが「噛み合わない会話の不思議感」以外には特筆するところが見つからなかった。
それから、キューバ危機は1962年のことであり、ほとんどの観客は名前くらいしか知らないだろうし、登場人物が何か関係しているわけでもない。今となっては思わせぶりに劇中で扱う意味はないと思われる(といっても勝手に削るわけにはいかないだろうが)。