書を捨てよ町へ出よう 公演情報 東京芸術劇場「書を捨てよ町へ出よう」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★

    時代を先鋭的に触発した寺山修司の没後35年の公演だが、時代の推移をつくづくと思い知る公演になった。それはそうだろう、この劇場があった場所は、寺山の頃は全く芝居などは縁のない流行らないマーケット街だったと記憶している。書はスマホになったし町は高層ビル、舞台になる労働者階級のアパートはマンションになったのだから。
    当然、そこに住む若者の意識も変わる。もともと寺山の「書を捨てよ、町へ出よう」というスローガンも、当時は詩的な色合いを含めた若者の憧憬を誘う惹句だったが、今日の公演のように、まったくその時代を顧慮しない俳優と演出で、何やら現代風の様式的な舞台で演じられると唯々昭和との違和感がつのるばかりだ。芝居を作った連中にとっても寺山は、我々が昭和30年代に漱石をありがたがれと言われて反発したような気分ではないだろうか。全体によそよそしい公演で、映像に音楽に建築材を組み合わせた装置にと趣向はいろいろ尽くしているけど、なにも伝わらない格好をつけただけの舞台だった。これではならじと挿入した流行のお笑い芸人の創作コントも失笑を誘うだけだった。

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    2018/10/09 23:09

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