満足度★★★★★
鑑賞日2018/10/05 (金) 19:00
ついに第2部。他の方もおっしゃっていましたように、場面の転換時に、投影でどこなのか示してくれるアイデアは、ナイスでした。前作以上に、スムーズに進行した感じがしました。2時間そこそことは思えないスケール感は健在でしたし、前面の舞台は前作よりも少し広めに取ったのですかね、領事館に使われるときも、アクションがある時も、ちょうどよい広さになった感じがしました。(単に私の勘違いで同じ広さなのかもしれませんが)
この舞台で面白いのは、セリフで語られる歴史上の人物が、一切登場しないにもかかわらず、彼らの息吹が感じられるような生命観が醸し出されているところでしょうか。満州国に来た溥儀や、五一五事件の犬飼毅、毛沢東や蒋介石が、そこを闊歩しているような世界観が、歴史の躍動感を与え、時代のうねりの中で己自身に徹しようとする敷島四兄弟に生命観を与えている感じがします。彼らを取り巻く時間感覚が、周囲の死生の中で重く、冷徹に刻まれます。特に義母の自殺や、太郎の息子の病死、四郎の特高刑事殺しは、一見素っ気なく、実は1つ1つのアクセントとして、ストーリーに重い軛を打ち込んでいきます。
ただ、こうした連作で問題なのは、前作を観ていないと、どうしても?になること。
その最たるものが、義母の自殺でしょう。二部から観た方には、なぜ、四郎があれほど動揺するのかは、想像だにできないでしょうし、彼女と情を通じていた男が誰かも判らないでしょうから。
来年の三部上演後には、一度通しで上演して欲しいですね。役者の方々には大変かもしれませんが。
この三年間、積み立ててきた財産がいかばかりなものなのか、舞台と観客とでしっかり確かめてみたいと思います。
猪八戒、次回も頑張ってね。