十二人の怒れる男たち 公演情報 俳優座劇場「十二人の怒れる男たち」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    名作古典をベテラン俳優が演じているのですから素晴らしいのは当たり前でどなたにも勧められるものです。
    しかし、何の新しい工夫もないので普段は星4つですが、日曜に観た「ジャッジノット!!審理編&評議編」のもやもやを吹き飛ばしてくれたので星5つにします。
    当日パンフレットは厚手の紙でB5版8ページのものでしたが中身が俳優のヨイショばかりで読むところがありません。

    映画ではヘンリー・フォンダのいかにも正義の味方という立ち居振る舞いに辟易しましたが本作の原康義さんは自然な演技ですっきりと楽しむことができました(時代の流れもあるのでしょう)。しかし、本作の主役は悪役(?)の青木和宣さんと米山実さんでしょう。おいしい役を思いっきり演じ切っています。

    ネタバレBOX

    このところ「12人の怒れる男」関連がいくつも続いているのでこの作品について少し考えてみました。暇な方はお付き合いください。

    「12人の怒れる男」は形式的には陪審員の評議の場を描写したものですが、実質的には法廷の審理をも含んだ完全な裁判劇なのです。登場人物が断片的に審理の様子を述べますが、重大な証拠、証言はまるで吟味していません。これは本来はありえないことなので、登場人物に次のように弁解させています。

    弁護士が反対尋問もまともにしなかったのは
    (1)若い国選弁護人であった。
    (2)被告人がスラム育ちの前科持ちであった。
    などの理由で有罪を覆すのは無理だと思ったのだろう。

    そういうわけで法廷での審理の部分をもし作るとすると
    (A)証言や証拠を詳しく吟味しないで提出する警察・検察
    (B)反対尋問もしない弁護士
    といったいくら昔のアメリカだとしてもありえないものになるでしょう。

    またDVDの解説では
    ・このような偏見だらけの陪審員は事前の審査で検察官からも弁護人からも拒否されるだろう。
    ・似たナイフを持ち込むというのは新規の証拠を採用してはいけないという陪審規則に違反する。
    と言っています。かなり反則だらけの名作ではあります。

    <2週間後のナイスコンプレックス版の観てきた!に続く>

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    2018/09/07 23:35

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