満足度★★★★
原爆乙女のエピソードは聞き知っていたが、実際に渡米した彼女たちの複雑な心境は、舞台を観て初めて思い至った気がする。それにしても、弱いものが、他の人のささやかな幸運を妬み、足を引っ張り合うのは日本人だけなのだろうか。
出迎えたアメリカ人に抱きしめられケロイドにキスをしてくれたという経験を話す女性が、「こちらでは挨拶なのかもしれないけれど、いつも俯いて暗い顔していた自分が、そうされたことで、自分の中で何かが変わったの」という台詞がことに印象に残った。
移植手術で亡くなってしまった彼女が、残された仲間たちに問いかけながら必死で励ます姿に希望を感じた。見送った後に泣き崩れた彼女の悲しみを私たちは忘れずにいたいと思う。