ムーンライト 公演情報 劇団星めぐり「ムーンライト」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    鑑賞日2018/03/31 (土)

    もともと名古屋では稀有な作風をもつオンリーワン的な劇団ですが、本作は…また一段と異色。

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    ネタバレBOX

    (続き)

    特徴をいくつか書きだしてみると…

    ①メルヘン漂う雰囲気の中、可愛い少女たちがシックなデザインの衣装を纏って、物語を紡いでいく。


    ②天体擬人化の不思議設定の中、SF(すこし不思議)風な謎の物理概念が根底に流れる。

    ③設定も出来事も独特ながら、関係性の根底に歴史・社会への風刺性を醸す。

    ④波乱万丈でハードな革命・戦記ストーリーがバックボーンにあって、大河ロマン感が漂う。

    えっ?て思う。
    これらが1作の中に同居しているって不条理を理解できるだろうか。

    ふわっと「恒星から生まれた子供たち」、「月から地球まで10年かけて歩く」とか言われると、普通は実現性をすっとばして頭をメルヘン思考に切り替えるしかないんだが、なんかそれで終わらせたくない何かがある。

    なんとなく…「伝承される神話」の風味があるのだ。

    日本神話やギリシア神話にしても、神は…能力こそは超人で…出てくる数字は破格の超物理なんだが、なんか心情や思考は人間そのものの愚かさがあるでしょ。

    実際の出来事を神様クラスに翻訳して伝承化されている節なども、実際の神話にはあるから、「革命物語を後世の民が神話化した物語」って想像してみると楽しい。

    風刺性は、侵略民と原住民の関係性や、天然資源(ここでは「石」と表現)や技術の略奪や、弱さゆえ侵略民に帰化した者への差別等、実際の歴史をオマージュした空気が強く、後に繋がる大虐殺等、ストーリーテラーとしての意気込みが設定資料集からも伝わる。

    そのハードさをメルヘンチックな空気に乗せるのは…「被差別」側の抵抗の想いを託した「被差別」側の抵抗の想いを託した…後世に伝える「おとぎ話」…なんて見方もできそう。

    ホウキの立場は、まるで交通犯罪者の更生プログラムの様であったし、色んな「見立て」が物語の中に組み込まれている感じだ。

    これだけ色んな要素を注ぎ込んで…雰囲気を破綻させずに、想像の余白で調和させる。設定資料集も良かったですが、これなら台本も見てみたかった。衣装は舞台の雰囲気の重要な部分を担っていましたが、かなりの部分が私服ってのが、この子たち普段からこういう佇まいなんや…と感心しました。

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    2018/08/17 23:20

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