猫の耳は折れていたか。 公演情報 南山大学演劇部「HI-SECO」企画「猫の耳は折れていたか。」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    鑑賞日2018/02/18 (日)

    ドラマへの効果としては協調するのが難しそうな…理屈面と精神面をうまく掛け合わせた良作でした。SFテイストをベースにしつつ…マニアックな展開をさせながらも、「想いで自分の将来を変える」という…普遍の命題をど真ん中に置き、その動機として兄弟愛を持ってくるあたり、SF面の理解が及ばなくても気持ちを乗せられる構成が上手い。

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    ネタバレBOX

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    理屈面においても…
    ・因果律に関わるSF的なロジック、
    ・物事の善悪と…簡単には割り切れない人情とのせめぎあい、
    ・人格は多面・多様で構成されいて…一意には切り捨てられない関係の難しさ…等、

    …多方面に切り込んでいて、マニアックに見える割りにオールラウンダーな仕上り。

    また、SF面一つにとっても工夫が大きい。タイムリープによるループものを全体のプロットに置いているのに、敢えて「最後のループ」に絞った話にして、「ループ自体を一つのオチ」に据えているのも良い。如何せん、今となっては世にループものが溢れているため、日記の正体も観客の想像の域を越えなかったと思うが、その正体の見せ方はインパクトあって、映像含めてとても上手い演出でした。

    クライマックス関連でも… 過去は変えられない「決定論」的な挙動を示していた因果律に対し、量子論的な発想から「2つの状態が重なりあった状況」を作り出すことで… いわば「因果律を騙そう」という挑戦的な仕掛けに見えたのは興味深かった。

    本来、「シュレディンガーの猫」の思考実験自体が、ミクロ現象をマクロ現象に置き換えて、その異常さを批判するためのものらしいが、そうであれば本作の仕掛けは…それを逆手に取る試みということになる。

    結果的に事を成して「パラレルワールド」で生きているであろう結末も踏まえ、この手の話の異種混合・合わせ技となっていて、色々意欲的だ。

    きっと論理的な穴はいくらでもありそうな気もするが、フィクションの楽しみ・意外性としては充分な仕掛けだったし、ハードSFではなく…最終的に人間ドラマに集約されているため、味付けとして効果的な盛り上がりを与えることができていると思う。


    ところで、作中で…西川以外も、何故みんな制服がバラバラなのか?…がずっと気になっていて、単に制服フリーの学校とか、衣裳の都合じゃつまんないなぁ…ともやもや考えていたのだが…ふと閃いた。

    実は…何かしらの作用で、ループの中でメンバーが少しずつ増えていったりしてないか?

    西川が最後のピースだったのでは?

    Wキャスト版も…解決のための平行世界の1つだったのでは?

    …って妄想しだしたら、むっちゃ楽しくなってきた(笑)

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    2018/08/17 22:30

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