いたこといたろう 公演情報 渡辺源四郎商店「いたこといたろう」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    「なべげんイタコ演劇祭」と名付けた今回の公演、
    GW唯一の休みに、2本立てのうち1本を観ることが出来て観劇感激!
    青森に伝わる特異な文化“イタコ”という「生者と死者”をつなぐ者」が
    なんと強烈かつ優しい存在であることか。
    経文と憑依のシーンがキモだが、人の本音が迫力満点で迫り素晴らしい。
    「イタコ体験ツアー」とかあったら絶対行きたい!

    ネタバレBOX

    舞台中央から奥は大きな祭壇、階段状にぎっしりと並んだ神仏の類い。
    両脇にはたくさんの白い着物や制服など、亡くなった人のものだろうか。
    祭壇中央には深紅の細い珊瑚みたいなものが炎のように立っている。

    イタコ(林本恵美子)の元をひとりの女性が訪れる。
    このサトウハナ(三上晴佳)はホトケオロシを依頼するが、実は深い事情があった・・・。

    冒頭からイタコの唱える経文に惹き込まれた。
    インチキか、超現象か、という議論を超えた土着のリアリティが素晴らしい。
    もうひとつの見どころは憑依する場面、イタコの師匠でありハナの育ての親の登場だ。
    子を“捨てた”者、“捨てさせた”者、そして“捨てられたが大切にされた”者が交差する。

    イタコを通して、つまり人知を超えた存在から告げられる真実は
    恨みつらみを生むのではなく、聞き手に自然な受容の姿勢をとらせる。
    生きている者から言われると受け容れ難いことも、死者の声として告げられると
    どこかからりとした雰囲気ですんなり入って来る。

    アフタートークで畑澤氏が「3.11で被災しなかった東北人としての表現を探った結果」
    のひとつが「イタコ」であったという話が心に残る。
    「イタコ」も「カミサマ」も風土と結びついた文化である。
    “生きている者同士では上手くいかない世の中”にあって、人はこんなかたちで
    救い、救われるすべを生み出した。
    そこに演劇表現の原点を見い出した畑澤氏に感服。
    これからもイタコ劇作家として様々な作品を見せて下さい。

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    2018/05/02 13:25

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