満足度★★★★
よく記憶を辿れば、(WS発表公演でない)山の手事情社の本公演を目にしたのは初めてだった。ただし今回の舞台の印象は「初めて」のものでなく、古典演目への切り込み方が予想よりやや晦渋であった。『テンペスト』について記憶にあるストーリーを引っ張り出し、なぞる事なしに、この舞台に随いて行く事はできなかった。原作を知っていることが観劇の条件であるのは、古典という下敷きに依拠しながら、その古典作品についての再読み込みを怠っているようで、あまり好きでないが、対するWS発表は新作である。この劇団が持っている演劇観、尺度、何を重視しているかを未だ知らず。
これから欧州へ渡りルーマニア・シビウ演劇祭とルクセンブルクで上演する。かの地では知られた演目だけに観られ方も随分違うのだろう。
彼我の演劇文化の違いを聴けば彼我の人間観・権利意識の違いなど諸々考えさせられる。(ミュージカルでない)海外からの風を日本にどう吹かせられるか・・一つのテーマになって良いと時折思うものの、日常の中にその場所が見えない。