満足度★★★★
鑑賞日2018/04/08 (日) 18:00
座席1階I列8番
4月8日午後、東池袋のあぅるすぽっとで上演されたTOHOKU Roots Project の『星の祭に吹く風』東京公演を観てきた。これは福島出身の役者・古川奈苗が出演していた縁によるものである。これは東京公演の前に郡山を手始めに東北各地で公演を行ってきた作品で、小説『風の又三郎』を下敷きに作られた物だそうだ。
粗筋というか、舞台はある小学校。40~50代の役者による1962年の同窓会と、20~30代の役者による1993年の同窓会の様子を、ミツという女の子を核として、1962年では三郎、1996年ではヨシキとトシコを巡るかつての同級生たちの故郷に対する交錯する思いを交互に同時進行させていく2時間あまりの作品。年配者たちは方言を使い、背景に『風の又三郎』を思い起こさせる内容であり、若手たちは共通語で台詞を語り、地域開発の問題点を暗示するなど、東北との関わりを盛り込んだ内容は新鮮であった。
役者では、全編出ずっぱりでその存在感が大きかった若干20歳のミツ役広瀬咲楽の出来が菅らしかったというか、非常に印象に残った。これは、演出唐というより役者本人の持つ個性による賜物だろう。
年配の役者では、三郎役の大原研二と耕助役の横道毅の演技が秀逸。若手では、抜きん出た演技者はいなかったというか、全員がなかなかの芸達者。ヨシキ役の真山明大はシーンの核の作り手としては何かが不足していた感じがあるし、そのぶんトシコ役の小松彩夏の演技に食われた感じ。福島出身の古川奈苗と庄野有紀はシーンに明るさとメリハリ感を醸し出していて良かった。
全席指定であったが、場内に空席が目立ったのは残念。せっかくの高レベルの舞台、もっと多くの人に観てもらいたかった。告知が地味だったのと、チケット代がやや高めという印象を与えたかも。