平穏に不協和音が 公演情報 演劇企画集団LondonPANDA「平穏に不協和音が」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

     3歳の子供がいる若い夫婦の“離婚ラブストーリー”は、上演時間が約1時間20分とコンパクトにまとまった二人芝居でした。正方形の舞台の隣り合う二辺に客席があり、劇場に入って左側の客席から英語字幕が見られます。

     舞台はフローリングの居間です。現代風のシンプルな棚にはフォトフレームやオブジェなどが飾られており、イスとテーブルのデザインはイームス風。清潔感のあるおしゃれな部屋で、秘密暴露大会が始まります。二人の立場や関係の変化を細やかに描く会話劇になっていました。出演者の浦川拓海さん、中村美貴さんと作・演出の大河原準介さんが、戯曲と格闘した跡がはっきりと見て取れる真摯なストレート・プレイでした。

     こりっちの広告がエントランスの階段の壁に貼られており、終演後には大河原さんが「CoRich舞台芸術まつり!2018春」の宣伝をしてくださいました。

    ネタバレBOX

     突然、妻が離婚を切り出し夫は慌てふためきます。共働きですが、家事も子育ても妻が取り仕切り、夫は手伝う程度。そして3年間セックスレスだったことがわかってきます。離婚でなくまずは別居という流れになりますが、夫が妻の携帯電話を覗いて彼女の浮気の証拠を発見し、立場が逆転します。

     妻が北海道にいる昔の彼氏とテレフォンセックスしたことや、夫に女装趣味(女性の下着を着用する)があることがバレて、果てには妻の借金、売春、変態的な性癖、夫の殺人疑惑(未必の故意)という、かなりきわどい事実も露わになります。暴露合戦へと進展していく会話の流れに納得できましたし、本気で正直に話をすることで、二人の人間がどんどんと変化していく様子も面白く拝見しました。

     「どうせ離婚するのだから」とお互いの秘密を散々さらけ出し、リラックスしてきた二人は、互いの新しい側面を発見します。夫が酒を飲まないのは飲みたい気分にならなかっただけで、実はいくらでも飲めること。そしていつも一人で酒を飲んでいた妻が、一人で飲むのはさびしいと思っていたこと。二人が「全然知らなかった…(早く知りたかった)」と微笑み合う場面は、空気がほっこりと温かくなると同時に、切なさも漂っていて良かったです。

     妻が夫からの子供の養育費を辞退したことに驚きました。彼女は定時までに仕事を済ませて帰宅できる職場に勤めています。よっぽどの高給取りなのか、昔の彼氏の世話になることが決まっているのか、はたまた実家が裕福なのか…と考えを巡らせました。個人的には夫と妻の職業は明かして欲しかった気もします。

     序盤の演技の硬さが少々気になったのですが、私が拝見したのは初日でしたので、回を重ねるごとに柔らかくなっていくのだろうと思います。

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    2018/03/30 00:14

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