正直、パーツとしての物語はとても、面白いのだが、色んなものが詰め込まれて、尚且つ、断片的に関わる人々の時間で進むので回収するのが疲れてしまった。
初見なので、劇団のカラーが分からないのだが、少し残念。
点と点の繋がりは、勿論理解は出来るのだが、自分の脳と心での繋がりが観劇してる中で、疲れてしまった。
「アカデミー」と呼ばれる再教育施設にいた子供たちは
個人の差はあるが、あるランクまで到達すると「死なない」人間になれるらしい。
客観的にみると新興宗教のようだ。
脳内にトキソプラズマのような寄生虫を使い、「死なない」ようにしている。
そして、そこでの教えは「最初の収穫物は神の所有物で、神のものは神に返すべき」旧約聖書などにあるように、人間にとって初めての収穫物=自身のこどもを差し出すことが必要とされている。
一度死んだ者がゾンビのように生き返り、自身の子を食すことの意味もあるようだが
その辺が少し自分で整理できず。
最後、玉子は自分の母に自ら取り込まれていくように私は思ったのだが・・・。
親がそのアカデミーの考えに洗脳され、その子供たちがある種「捧げもの」となった。
親は子を一番に想う。
しかし、偏った思考になった者にとって、「一番タイセツなモノ」はすり替えられてしまう。その「神」はその人々にとっては「タイセツなモノ」になり、子の幸せのために、自分の信じるモノの為に・・・。
怖いことだとも感じたし、純粋なことだとも、感じた。
「想う」とは何が正解なのだろうかと思う。
物語が「現実」的なモチーフと「非現実的」なモチーフが
交差して、観ながら「これは、起きながら悪い夢をみているのかな?」とも思った。
今回Straw&Berryの小西耕一さんがご出演と言う事で伺った。
過去に恋人を事故で失った女の子の兄でその亡くなった妹の彼氏の家庭教師でもあった木本役。
本当は「普通」に過ごしてたら「妹想いのいいお兄ちゃん」だったのだろうなと。
(少し洋服の趣味は悪いかもしれないが・・。あのTシャツが出た時は迂闊にも吹きそうになった・・・。めちゃイケ大好き)
ただ、きっと、木本は木本なりに「普通」に生きる事をみつけて、暮らしていたのだとおもう。
母親が生き返って来なければ。
能島役稲垣廉さんの芝居が気になった。
能島はアカデミー出身のカナと恋人同士。キャバクラでの女の子の送迎や、おそらく高利貸しの取り立てなども、系列会社の業務で兼務しているような役。
穏やかなヒトだなと思った。人を人として扱う事が出来る人間のように思えた。
それゆえに最後に彼に起こる事柄がキツイ。
どろっと、血が重く垂れる様な気持ち悪さを
拭えないラスト。
嫌いでは無いのだが、なかなか、手放しで「面白かった」と言い切れないキモチ。