満足度★★★★
群像劇系
小説家を目指していたが今はアイドルの連載コラムのゴーストライターにとどまっているフリーライターと仕事への力みが空回り気味のその担当編集者、「何かをする」と言い続けながら何もしない(=自分の方向性を決めることができない?)交際相手(だけでなくそれは即ち自分自身でもある)にイラだっているフリーターなどを中心とした群像劇系、かすかにリンクしたエピソードをスケッチ集のように重ね、そこからあぶりだしのように全体像が徐々に浮き上がって来る構造で、人物の心象を「影」(役名)のダンスで表現したり、エピソードのつなぎ目がダンスだったりするのが特徴的。
元々協力関係にあった演劇系とパフォーマンス系の2つユニットがタッグを組み昨年立ち上げ、それぞれ交互に作・演出を担当するシステムで、今回はパフォーマンス系側の作品なのでそういうスタイルになった模様。
ゆえにそのダンスも小劇場系の芝居としては難易度が高そうだし。
でもって「滞留」を抱えている各人物がある出来事をキッカケにそれぞれ方向性を見出すラストは語り過ぎず突き放さずのバランスが程良くて好み。
そのキッカケを与えるところの、大学の部室に何故かいて言葉を話さない(劇中での表現もダンスとマイムのみ)「フシギちゃん」はもしかすると今様座敷童子ではないかとか、本当は存在していなくて、各自の心の奥底に秘められた「変わりたい願望」の象徴ではないかとかそんな風に解釈の余地があるのも面白い。
また、紙ヒコーキを詰めたロケット(?)という部分に「銀河漂流バイファム」の最終話も連想。