期待度♪♪♪♪♪
舞台史上、「日本一泣ける演劇集団」ではないか。
演劇集団TEAM6gを主宰するのは、テレビドラマで名バイプレイヤーと名高い阿南敦子。
昨年、演劇界の登竜門と言われる池袋演劇祭グリーンフェスタに、初挑戦で、大賞と部門賞を一気に受賞した作品「Melody」が、今回劇団10周年を記念して、再演される。
私も観劇したが、「人としての弱さ」や「相手を思いやる気持ち」に涙が止まらない傑作だった。
この劇団は、市井の人々を温かく、涙と笑いをつむいで魅せてくれます。
そして、緩急ある演出に魅せられます。
日常の風景をみせつつ、ストーリーは、伏線を回収しながらどんどん進んで行きます。
劇場全体に笑いが起きたと思えば、前のめりになって、息をのむ自分に気が付くのです。
民宿の女将、池脇明音(阿南敦子)と、東京から来て居候する瀬戸草太(平田貴之)を中心に話が進みます。
阿南の移りゆく表情が良い。ぱっと見、姉御肌なのに、自分には正直になれず、相手の事を想う女性を好演する。
そして、平田も過去にある出来事を抱えながらも、自分なりに決心をしていく過程を丁寧に演じて、観客の心をつかむ。
また、彼の歌うMelodyが、その心に優しく切なく響きわたる。観るものは、彼の想いに自ずと寄り添い、かたずをのんで見守る。
脇役もうまい。女将の弟である池脇潤(日和佑貴)が、ムードメーカ的な弟かと思いきや、終盤、彼も自分なりの決断をする。その姿にも、劇場全体が涙する。
帰り道、興奮が冷めない自分の涙の跡に、夜の冷たい風がひんやりとあたり、良い物語を見たんだなとようやく現実に戻れるはずです。
そして、明日もがんばろうと思わせてくれるのです。
池袋演劇祭グリーンフェスタ
「大賞」・「部門賞」ダブル受賞作品
第12回公演作品再演
「Melody」
一人でも多くの方の目にとまって欲しい。
あなたの今年の1本になるべき作品です。