昼下がりの思春期たちは漂う狼のようだ 公演情報 公益財団法人広島市文化財団 アステールプラザ「昼下がりの思春期たちは漂う狼のようだ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    上演は、2月21日(水)~25日(日)5日間で、全7ステージである。広島と蓬莱竜太がタッグを組む三年計画集大成と銘打たれたこの公演。その蓄積が何を産み出したか興味深いところだ。
    中央の舞台を挟んで、対面形式の観客席はあわせて100名ほど。
    中学の同じクラスで、十数年ぶりに再会した双子の在日二世の姉妹を中心に、クラスの彼・彼女たちの日々がさまざまなエチュードで描かれている。
    観客にも一つや二つは思い当たるだろう青春の思い出、片思いと部活仲間とに行き違い、漫画家になる夢を打ち砕くクラスメートの心無い言葉、演劇部での幼い演技論の衝突など甘酸っぱいエピソード。
    好きな彼女と同じ高校には行けない受験問題、仲良し3人娘の中でいじめの当事者が入れ替わり、クラスの乱暴者が父子家庭の父親から受けている虐待、引きこもりの息子に暴力を振るわれる母親の苦悩などの社会問題もほどよく散りばめられているが、その経緯やその後をうかがい知ることは出来ない。ただ、思い出の記念写真の中の彼ら彼女らが動き出すだけだ。
    27人の出演者それぞれに、芝居の見せ場があり、全員が歌う合唱シーンやダンスシーンは、なんとも楽しげである。まるでハイレベルの学芸会のようだ。
    16歳で姿をくらました姉ソジン(李そじん)の謎を妹のゲン(鈴政美穂)は、10年前の中学時代の思い出の中で見つけることができただろうか。
    アフタートークでは、芝居に感激した若い観客の感想や質問が相次いだ。あたかも現在同時進行中のオリンピックのように、演じる側も観る側もこの取り組みに参加することに意義があったのかもしれない。

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    2018/02/27 20:43

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