ブロードウェイと銃弾 公演情報 東宝/ワタナベエンターテインメント「ブロードウェイと銃弾」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    今月の新作のミュージカル二本が1920年代もの。その一本の「マタハリ」はフォーラムでやりながら、ここでは上演すら無視されている。見てみるとなるほど無視されるのも当然の舞台だったが、もう一本の「ブロードウエイと銃弾」はよく出来ていて楽しい。
    華やかな表舞台と、銃弾が支配するギャングの裏社会が、表裏一体だった一九二〇代のブロードウエイ。地方出身の純朴な演劇青年(浦井健次)が脚本家を目指してこの町にやってくる。映画からスピンアウトの「ブロードウエイと銃弾」は、ここで初めて脚本採用となった青年この街の風習に振り回される喜劇だ。
    まずは興業の金主のギャングからはお気に入りのトンデモ女優(平野綾・快演)を作中に入れることを要求され、ベテランの主演女優(前田美波里)からも次々に注文が出される。進退窮まった脚本家に、なんと、若い女優についてきたギャングのボディガード(城田優) が作劇上のアイディアを出してくれる。純情青年の劇作家と殺人も平気なギャングが二人三脚で舞台をヒットに導こうと頭をひねる。この意外な設定が旨い。ミュージカルなのだが、音楽はオリジナル作曲ではなく二十年代の曲の編曲である。これも効果を上げて一幕の終盤、タップに歌を織り交ぜてローカル試演の成功で盛り上がる。ブロードウエイのオリジナル振り付けを使っているそうで、きれいでシャレた装置の舞台に躍動感がある。
    俳優陣も脇役までそれぞれの個性が際立ってバランスがいい。
    だが、こんなあやふやな座組みの芝居がうまくいくわけはない。二幕はその崩壊が描かれるが、そのなかでは,芝居つくりの機微にも触れるところがあって面白い。
    映画が原作だが、再演が待たれる異色のになった。

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    2018/02/26 23:01

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