期待度♪♪♪♪♪
3年前、この『リチャードⅢ世』を観たのが、芸術集団れんこんきすたとの出会いだった。
3年前、corichの観てきた!にも書いたが、1部を抜粋して、再掲する。それが一番、芸術集団れんこんきすたの『リチャードⅢ世』の凄さと魅了が伝わるのではないかと思う。
『セットはなく、真ん中に「愛と哀しみのボレロ」のジョルジュ・ドンが踊った円卓が正方形の木の大きなテーブルのようなった舞台と、両側に置かれた長椅子があるのみ。
長椅子には、リチャードⅢ世によって殺され、リチャードの罪を弾劾し述べ立てる者たちが座り、リチャードとの回想シーンが舞台の上で展開されるという、声と台詞と身体表現で全てを描き出すという、シンプルな故に難しい舞台。
舞台が始まる物語前から、その舞台の下で蠢く、黒いマントに気づく。始まる前から、リチャードⅢ世の世界は作られていて、それをずっと目が離せずに観ていた。
シェイクスピアの悲劇であるものの、シリアス過ぎることもなく、時に笑いも漏れ、面白く惹き付けられて観ている内に過ぎて行った二時間数十分。
濃く深く最高に面白くて、素晴らしい舞台』
とこれが、私が3年前芸術集団れんこんきすたの『リチャードⅢ世』を観た時に感じたことである。
日本の劇団で、セットらしいセットがほぼ無い状態で、そこに恰もシェイクスピアの世界が、『リチャードⅢ世』の世界が目の前にまざまざと描き出される凄さは、観る事でしか体感出来ない。
この舞台を観た時、あまりの凄さと素晴らしさに、全身が粟立ち、魂が揺さぶられ、軆中の血や細胞が沸き立ち目まぐるしく駆け巡った。
この一作で、芸術集団れんこんきすたに魅せられ、それからずっと、欠かすこと無く芸術集団れんこんきすたの部隊を観ている。
この作品だけでなく、芸術集団れんこんきすたの全ての舞台が素晴らしいが、中でもこの『リチャードⅢ世』は、3年間ずっと再演して欲しいと願っていた舞台。
是非、観て欲しい舞台だ。
文:麻美 雪