ちょうどいいひと。 公演情報 Nuts Grooove!「ちょうどいいひと。」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    時間と技術を使い仕上げたであろう公演、これから(今後)観るであろう人達のためにも筋の紹介は簡単にしておく。本格ミステリーではないが、ラストシーンはアッと驚くような展開であり、本公演は再々演であり今後も上演の機会がありそうだ。
    ちなみに「ちょうどいいひと。」とは、説明によれば「感情的じゃなくて、聞き上手で、自分の意見を言えるほど強くはないけれど、でも優しくて。前に出過ぎず、後ろにも行き過ぎず。社会の輪の中に、ちょうどよく存在している。」という人のことらしい。その曖昧な人物像を独特な切り口で描いた物語は観応えがあった。
    (上演時間1時間45分)【Bチーム】

    ネタバレBOX

    舞台はあるレンタルルームと喫茶店の2光景。登場人物は僅か4人(常時登場は3人)で、そこで展開される物語は、”ちょうどいい人”ならぬ”聴(努)言い人”になってみたかった3人の話。人の手の平の上で踊る、そんなシュールでブラックユーモアが感じられる公演。

    梗概…「ちょうどいいひと。」になるための啓発セミナーに大金を支払い参加したが、肝心の講師が現れない。男女1人が一枚テーブルに座って待っているが、お互い存在を意識しているが声は掛けない。そのうち遅れて別の女性が現れ時間だけが経過していく。もしかして詐欺かも…。別の日にもセミナーがあり、改めて参加してみようか。セミナー室から喫茶店に場所が移り、この時も些細な言い争いが繰り返される。この時点で人間関係が上手く築けない人達であることが解る。別の日にも顔を合わせるが…この間にそれぞれの人のプロフィールが自己紹介という形で説明される。

    男(由原誠)…48歳・会社員。会社で上手く立ち回れず精神的な病になった。女(藤崎いずみ)…39歳・スナックママ。自転車乗車禁止の商店街で、後ろから自転車に乗った小学生に”ジャマ”と叫ばれ対人恐怖(トラウマ)に。女(山本絵理亜)…40歳代か?幼い頃から人間関係は苦手。コスプレで外見を装い内心を隠す。そしてレンタルルームの清掃員のおばちゃん(愛ちゃん)が仄々とした雰囲気を醸し出す。全員が一見、一癖二癖もありそうな人物ばかりであるが、底には人が持っているであろう承認欲求という普遍的な願望が透けて見えるようだ。

    基本的には会話劇であり、物語の面白さは構成・展開に左右されるだろう。日常生活(過去も含め)や対人関係の良好を目指すというささやかな願望を軽妙でコミカルな会話で紡いだ秀作。それを細やかな演出…例えば窓を開けると街の雑踏が聞こえるなど、室内の異空間と室外の日常空間が区別させる。そこには世の中の”普通というレール”を走るのか?という自問自答への回答が見つからない。その区別のようなものが室内外の音響で表す巧みさ。
    観終わってみれば、セミナー主催(首謀)者の思惑か、それとも偶然か判然としないが、いつの間にかセミナー効果が…。

    次回公演を楽しみにしております。

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    2018/02/06 17:51

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