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東京×こふく劇場「
島
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アキラ(1498)
満足度
★★★
誰のための演出だったのか。
「眠気を誘う演出ですから……」的なアナウンスが永山さんから冒頭ある。
ネタバレBOX
なので、ぎゅうぎゅう詰めで、例の幼稚園児用のイスに座っていたので、こっくりこっくりして転げたりしたらマズいなと気を張ったのだが、そんな心配はなかった。
それは、役者が上手すぎて一挙手一投足から目が離せなかったからだ。
初っ端から、身体の動かし方というか、身のこなし方というか、そんなところに「むむむ」っとなった。
皆上手いのだ。
たぶん無音だったり、薄暗い中での薄暗いスポットライトがいい効果となっていたりして、役者さんたちの動きがとてもきれいに見えていたということもあるかもしれない。
肉体的なつながりを見せるカップルのほうだけでなく、奥のカップルもエロティックに見えてくる。
さらに、無音に会話が「見える」ような感覚もある。
「役者が上手く見えた」のには「理由」があったのだと思う。
今回の役者さんたち全員を今まで舞台で見たことあるわけではないのだが、それぞれが目立ちすぎることなく、きちんと全体にハマっているのだ。
前半は、台詞=ヴェルヴェット・アンダーグラウンド&ニコで、沈黙=ピアノ曲という構成だったように思う。
なので、「音楽がきっかけになっていて、役者さんたちはそれに反応している」のかと思っていたら、そうでもなさそうだった。
物語がなかなか見えてこない。
照明のようにすべてが薄明かりの中にある。
そもそも台詞があまりない割には、情報が多すぎる。
「南北(分断)」「川」「川の氾濫」「彼岸と此岸(つまり川は三途の川か?)」「目の見えない妻」「2組の男女」「妻の失踪」(=探す夫=イザナキとイザナミ?)「妻の死」「不明の子ども」「2組の男女を隔てる位置にいる女」「老婆のような少女(逆ではない)」「ヴェルヴェット・アンダーグラウンド&ニコの曲」「歌った歌(何の歌かは忘れてしまったが)」「水が垂れる音(最初はまったく気がつかなかった。丁度人の頭が重なっていて見えなかったので)」「カセットレコーダー」等々。
それでも、それらから見えてくるのは「喪失」。
つまり「喪失の物語」がここにはあるのではないか。
どうやらこの作品は「物語を見せてくれる」ではなく「そこに観客の気持ちを投影させる」ではないのか、と少しだけ思った。
思ったが、先に書いたとおり「情報」が多すぎるので、もうひとつ投影しづらい。
単語の抜けた台詞があったりした。
それは「何が抜けているのか」が「あとでわかる仕掛け」になっていて、それで物語の全容が明らかになるのかと思ったりしていたが、どうやらそうではない。
次に変な発音の切れ目がある台詞回しがあった。少し「地点語」(地点特有の発声)に似ているが、それには及ばない。
ここまで来てなんとなくわかってきたことがある。
それはすべて「俳優への負荷」なのではないかということ。
この作品がどのように組み立てられたのかはわからないが、作・演出の永山智行さんが1人で作り上げたものではなく、俳優さんたちとの間で、一緒に作り上げたのではないかということだ。
つまり、「無言の会話(肉体の会話)」「無言のときの気配」「感情の爆発」「音楽とのコラボ」「単語の抜けた台詞」「発音の切れ目が変な台詞回し」などはすべて「俳優への負荷」ではなかったのか。
さらに先に書いた「多すぎる情報」は、俳優さんたちに与えられた「設定」であり、「多すぎる」のに「無言」だったりするので、それを表現していくというのも「俳優への負荷(課題)」だったのではないかと思うのだ。
したがって、「俳優が上手すぎる」と感じたのは、そいう「試練」とも言える「負荷」を超えてきた先にあった姿ではなかったのだろうか。
だから、この作品の「演出」は「役者のパフォーマンスを最大限に引き出すため」に行われたのではないかと思ったのだ。
だから、物語を深読みすればできるし、眠気を誘うと思えばそうなりもする。
……しかし、「なぜ」わざわざ冒頭で作・演の人が、「眠気を誘う演出」と言ってしまったのだろうか?
「眠くなること」が目的ではないだろうと思うのだが、自分で演出しているのだから、自分でなんとかできただろうと思う。
それは、ひょっとしたら「役者のための演出だから」ということをつい吐露してしまったのかもしれないなどと思ったりも……。
ラストに手を振るのは感動的になるかと思ったら(最初無音だったりして)、意外にダサいな、と思ってしまった(失礼)。
FUKAIPRODUCE羽衣ではロックな大人の哀愁がある日髙啓介さんが色っぽい。青☆組では健気さを感じさせる福寿奈央さんの感情の高まりには新しい一面を見た。大池容子さんが豹のようにシャープ。
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2018/01/28 05:30
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