少年カセットコミック 公演情報 妄烈キネマレコード「少年カセットコミック」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    漫画雑誌をモチーフに多彩な短編を織り込んだ意欲的な企画。制作発表時は…7本作るって正気の沙汰か…って思いましたが、新顔の客演抜擢も含め、見事な創刊でした。

    ネタバレboxに各話の感想書いてます。

    ネタバレBOX

    [A]恋の開】
    恋オメガ以来2度目。このノリは何度観ても楽しさてんこ盛り。筋とオチを知っていてもなお、無闇に盛り上がる稀有な舞台。この空気づくりに音楽と照明のもたらす寄与は比類ないね。条件反射で…頭に刻み込まれた劇的な感情の発露を促す選曲はGood Job!
    酒の肴を追い求める…ただそれだけのことを、壮大な「叙情詩」として成立させるミラクル。アンジェさんのダイナミックな表情と、随所に仕込まれたギャップ萌えの訴求力は見事という他はありません。終盤の変身は「魔法少女モノ」と讃えるべきインパクト。

    [B]ドーン・オブ・ザ・ゴッド】
    INDEPENDENT:NGY 以来2度目。マーケット戦略さながらの小気味良い布教技術論。その内容の硬さを解きほぐす…ギャップとしてのコミカルな話術。なぜか出てくる名古屋弁(笑)

    初演で面白かったところはそのままに…やってくる終盤。
    神に対する本音が…ツッコミが響いてくる。「光明もたらしゃあ~」までのくだりが、初演の時よりもスルッと胸の内に落ちてきたのが印象的。
    聞いたところによると、初演での畳み掛ける様なセリフ群を…一部、大胆に削ったそうで、「伝える」に比重を置いた成果かな。ただ、エモーショナルな部分がぐっと良くなったのに対し、理屈を捲し立てる話術の部分にもっと淀みなさが欲しい…気持ちよく聞かせて欲しい。
    じわじわ好きになってくる素材、また磨かれる機会を切望。

    [C]嘘つきパラドックス】
    そもそも人間関係から迷わせる趣向。最初は「先生と生徒?」の印象から、徐々に「ドラマ監督と役者?」に見えてきて、遂には「作家の脳内論議」…作家自らが自分で生み出したキャラと自作の方向性に葛藤する様…に辿り着いたかに見えた。

    人間関係自体を謎に据えて話を展開させること自体は珍しくないけど、こうやって観客の想像をコロコロ変えさせてゆく趣向は新鮮。ここにフォーカスして、もっと頻繁に変えるのも面白いかも…コント的な味付けになってしまいそうですが(笑)

    [D]今日はカレーな気分!】
    屁理屈問答や異文化コミュニケーション的なネタの楽しみも多かったが、やはり…常滑kenさん個人の味を堪能した回と言える。吃り方といい、キョドり方といい、まるで漫画から飛び出して来たような振る舞いが何とも愉快。個性に合った起用かな。

    [E]ギブちゃんの言うとおり】
    Siriをモチーフにしたと思しきキャラ ギブちゃんから享受する人生指南。ギブちゃんの"らしさ"と…ブッダすら演じてみせる役者ぶりのギャップは面白い、はらみつさんナイス。そしてかつて、モラトリアムの代名詞であった"自分探しの旅"にて、行いは適当ながら、何となく納得できる等身大の答えを導き出してレベルアップしていく展開になんとなく好感。ただ、自らの無謀をインスピレーションの源にして、若い子が真の冒険に挑んでいったという展開は、ちょっと皮肉でしたね(笑)

    [F]星のふる丘】
    スピード感溢れる軽妙な展開。法則を探りつつ、問題解決ままならぬジレンマの可笑しさ。何とも甘酸っぱい彼氏彼女未満の関係。色々ツボにハマり…率直に「これ、好きやぁ」…と思わせる秀作。
    とにかく森さん&清水さん二人のやりとりの可愛さが印象的で萌え要素満載だけど、それで終わらぬ最後のオチにも…完全にやられた。タイムリープ物の既成概念に一捻り加えてきた様で、こういう虚をつく感じは大好き。
    印象としては、まさしく女性の掌の上で踊らされて…ポカーンな感じの後味だったなぁ。
    並行する彼女側イベント構造は台本を読んでも想像の域から出れないが、バッドエンドに至る前のいずれかのTLにタイムリープを重ねたのかと…スピナーも気になるけど。
    ただ清水さんのラストの表情は、そんなものどうでも良いかって気にさせる爽やかさ(笑

    [G]WOW WAR GOLD】
    西尾さん、こんなシナリオも書くんだ…と率直な驚き。これもまた異文化遭遇ネタではあるけど、極めてSFサスペンス調…しかも、実在んいいドキュメンタリー・スタイルという可笑しみ。
    ぶっちゃけ、んいい観てるんだか、妄キネ観てるんだか…分からなくなる不思議体験。
    台本には「適当にネタやって」的な指示も入ってて…西尾さんとんいいの信頼関係も窺わせる(笑
    あと…任意に光る玉の小道具に驚きあったし、第三者の人格を乗せていく椎葉さんの演技は…まさしく光ってた。随所に見所あり。

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    2018/01/06 19:41

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