コンブリ団Re:sources「夏休みのばあちゃん家」 公演情報 コンブリ団「コンブリ団Re:sources「夏休みのばあちゃん家」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    1人の僕(優)を3人の役者が入れ替わりつつ進む展開が興味深い。登場人物9人を役者3人で回す台所事情的な演出テクニックかもしれないが、僕の語りが非常に長い戯曲ゆえ、…台詞を切り分けることで不思議にリズムも良くなり、見た目も軽快。分担により、何となく「僕」の立場を普遍化している様にも感じられ、後々明かされる背景とも絡めると意味深かも。

    以降はネタバレboxへ

    ネタバレBOX

    (続き)

    少年の単独小旅行という設定には、当初は子供向けテイストを想像しており、実際に動物や妖怪も活躍する味付けがあるのだが、その裏でテーマ的に潜む色んな意味でのマイノリティや多様性、空気を読ませる日本的社会観等の一般論的な問題を被せてきたリ、災害や戦争等の特定の社会背景や歴史を重ね合わせつつも…オブラートに包んで明示しない辺りが粋でもあり、がっつり大人向けの作品だ。

    異能を持ち…孤独を匂わせる僕に絡む妖怪たち…特にヒトカゲの示唆に富んだ語りやコミカルなサトリも面白いが、それ以上に彼らの年齢設定もいい味を出していて、歴史的な背景との繋がりの意味以上に、現代の大人を揶揄している…人間社会の負の状況の体現の様でもあり、これまた意味深だ。

    そして、そんな大人の社会事情はあくまで背景に留めて、子供である僕が…親との思い出や妖怪達を支えにしながらも…あくまで自分の判断で「人の心の本質」を滲ませ、結果を掴みとる結末は何とも心地よい空気でした。

    終盤につれ…不思議に大人びていく少年の佇まいに…少年が乗り越えてきたモノを感じさせ、切なくも頼もしい後味でした。余談ですが、本作の「戯曲版」と「公演脚本版」を購入できたので、さらっと読んで比較してみたところ、公演版では僕の配役分割以外にも色々効果的な手が入っていて、「へ~」ってなった。
    発言の出所を変えて登場人物の役割のメリハリを良くしたり、観客が察すれば分かることの説明台詞を省いたり、結末の気付きのキッカケを増やしたりしている様でした。

    推敲の過程を垣間見れたようで、こういう機会も面白いですね。

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    2018/01/06 16:01

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