あたま山心中 散ル散ル、満チル 公演情報 ハイリンド「あたま山心中 散ル散ル、満チル」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    さくらんぼの種を食べて頭に桜の木が生えた男を描いた落語「あたま山」と、幸福の青い鳥を探すため旅に出た兄妹の話「青い鳥」を交錯させて描いた2人芝居。奇妙な構成の中にごく普通の人が存在する、そんな独特な感じが面白い。
    妄想か幻想か、夢か現か幻か…そんな現実離れしたところの日常が見えてくる。
    (上演時間1時間20分)

    ネタバレBOX

    セットは、中央に木組みや木の椅子が重なり合う。周りには開いた旅行鞄、帽子がある。

    2人の関係が短い間隔で夫婦、兄妹、父娘等に変わり、細分化させたシーンを繋ぐ。精神的な繋がりを持って新たな関係を築けず狂気妄想的な衝動や思い込みに世界が変わる。また年齢も子供から大人(中年)という離れた年代を行き来し展開する。その突拍子もなく現実離れしているかと思えば、リアルな情況として浮かび上がるという不思議感覚である。

    ベースになる「あたま山」は、ケチな男がさくらんぼの種まで食べたところ頭に桜の木が生えた。人々は珍しがり頭の桜見までする。男は木を抜くが、そこに穴が出来た。そこに雨水がたまり池になる。これにも人々は玩ぶ。我慢を重ねたが煩さが高じ男は頭の池に身を投げてしまう。どちらかと言えば悲劇的だ。
    「青い鳥」は 、2人兄妹のチルチルとミチルが、夢の中で過去や未来の国に幸福の 象徴である青い鳥を探しに行くが、結局のそれは自分達に最も手近にある 鳥籠の中にあった、という幸福が見られる。この全然関係のない話を不思議という共通する感覚で結ぶが、本公演の観せ方は一つの物語として紡いだとは思えない。

    「あたまと心が、散る、満ちる」という駄洒落のようなチラシのキャッチ。公演全体を貫くイメージは、夢想の旅路の果てに辿り着いたところは二つのベースによって違う。「あなたと呼ばれた時、たまに(自分が)誰だか分からなくなる」という台詞が少し悲しい。心が彷徨し、その先にあるのは病(病院)か死か。そんな情景が現実の問題に近づいたり離れたりする。リアルな問題を柔らかく包み込み不思議感覚で訴える見事な公演。それを体現する2人の役者の演技力も確かだ。

    次回公演を楽しみにしております。

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    2017/12/23 11:35

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