踊る会議室 公演情報 ショーGEKI「踊る会議室」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    「会議は踊る」という映画があったが、ナポレオン失脚後のウィーン会議を背景になかなか進展しない物語。同時に恋愛話も平行して進む。
    人間の隠された本性のおぞましさ、正常な人が非日常の世界に突如放り込まれ、正気と狂気の現実を行き来する衝撃にして笑劇的な作品は面白い。
    本公演は某会社の忘年会で食する”鍋”に関する物語。チラシ説明の通り、パラレルワールドの世界観を社内組織・個人の立ち位置という両観点から重層的に描いたコメディ。
    (上演時間1時間50分)

    ネタバレBOX

    セットはL字客席で2方向から観劇可。真ん中にテーブルと鍋、それぞれの客席に向かって白板があり、板書した内容が分かる。

    物語は、広告代理店・吉広社(渡された名刺の住所は、世田谷区三軒茶屋)の大忘年会…毎年の恒例行事で会社が費用の一部(1人1,000円)を負担し、”鍋”宴会を行う。特に創業50周年。今年は寄せ鍋にしようか等、好みと予算の兼ね合いも含め喧々諤々しながら具材の選定から始まる。そこには総務部を中心に営業部、九州事業部など複数部署共同で検討が進められるが、やはり会社組織という垣根も見えてくる。同時に個人的に鍋に対する思いが巡り話がなかなか纏まらない。

    今年の鍋は何にするか、それを同じ時間、同じ人々の2つの世界が全く違う方向で会議が進む。表では年末忘年会で少ない予算を有効に使い豪華な鍋を提供できるか真面目に話し合う。一方、裏では鍋を使って日頃から恨んでいる社長を完全犯罪に見せかけて毒殺するかの計画を企てている。

    正気と狂気、善と悪が怒涛のように押し寄せ、いかに会社組織が一皮剝けば一枚岩でないことが分かるシュールなもの。パラレルワールドの区別は社長や秘書の人柄・態度で善・悪シーンを判別させる。同時に社員の対応も豹変し、希望と絶望、薬か毒を瞬時に分からせる。それを役者が、登場する人物の立場やキャラクターを実に見事に体現する。また照明でその区別を明確にするなど演出効果は巧みであった。
    会議らしい展開...決まった具材(10品)を白板に記録していくあたりは、観客の記憶に頼らずしっかりとそしてテンポ良く観せる。

    次回公演も楽しみにしております。

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    2017/12/09 16:27

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