舞台ナルキッソス2017 公演情報 舞台ナルキッソス2017「舞台ナルキッソス2017」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    終末医療をロードテアトル、シアターを融合させたような展開であり構造である。
    (上演時間1時間45分)

    ネタバレBOX

    セットは素舞台。上手・下手側に白布、黒布で包んだBOX椅子が数個あるのみ。色合いから鯨幕をイメージさせる。

    茨城県内にある終末医療施設(7階)に入所している人々が死に向かい合いながら楽しく必死に生きようとする姿を描く。入所している19歳のミドリ(光河玲奈サン)が10年前に失踪したナツミちゃんの足取りを辿りたいと…。この施設に勤務している看護師のアヤノ(西條美里サン)は友人にそのことを話し、車で旅に出ることになるが、そのことを聞きつけた他の患者も後を付けて来る(その車を運転するのは医師という都合のよさ)。
    ナツミの目的地は淡路島だったようだ。そこに咲く水仙(ナルキッソス)を見るため失踪したようだ。今は夏、水仙が咲く季節ではなく、その時季であれば咲いているであろう景勝地へ。そして海が見える断崖で「なぜナツミちゃんが旅に出たのか解る」と言い残し…。

    車での乗・下車シーンはもちろん食事などもパントマイム。演技自体はそれほど上手いとは思えなかったが、”死”という現実を観せられると胸が締め付けられる。人間は感情の動物と言われるが、この時の自分の気持にフィットし過ぎて困った。
    旅の目的は”死に場所を探すこと”と知ることが出来、夢や希望が持てない絶望感が切なく描かれる。旅先の風景や集合写真はそのシーン毎にバックの白壁(スクリーン)に映像として映し出す。映像・照明・音響で効果的な演出を試みるが印象が薄いのが残念。また物語の最大の謎、ミドリが10年前のナツミちゃんのことを知っていたのか?それが旅に出かける理由になったのではないか。

    全体としては子供たちの無邪気、明るさの内に秘められた”死への恐怖”がもう少し具現化出来ていれば良かったと思う。終盤に向け、集合写真に写る子供たちが序々に減り物悲しさが伝わる。ラスト、白黒のBOXが白黄の布に変わりナルキッソスをイメージさせる。

    次回公演を楽しみにしております。

    0

    2017/12/02 14:37

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大