満足度★★★★
ゴーゴー音楽に乗って軽快に疾走するシャープでブラックな感覚。
映画版はまだ未見ですが2007年8月、THEATRE1010でやった高平哲郎演出版は観ました。
ケラ版は、明らかに映画をリスペクト。
ゴーゴー音楽に乗って軽快に疾走するシャープでブラックな悪の感覚。
家族のみんなは悪いことをしているのに、全然悪く感じさせない、妙に前向きな感じ。
何といっても、緒川たまきさんの幸枝が光ってました!!
男たちを翻弄しながら大金を巻き上げて、ちゃんと旅館を開設、
子供を育て、
しかも男たちに金を貢がせながらも、そのそれぞれの関係は
その時々では真面目に関係していただろうと感じさせる
かわいさ、ある意味での誠実さが伝わってくる
おっとりとしてチャーミングで、したたかという
キャラクターを見事に作り出しています。
先生の大河内浩さんも物腰の柔らかさや困った感じがとっても良くて
関西弁もぴったり。いつもの刑事ややくざの強硬な体育会系
の男っぽくて「攻める」雰囲気よりも、
こういう文系の弱い役のほうが何倍も面白くて、
良く合っていると思います。
税務署員のペンギンプルペイルパイルズ(pppp)所属、玉置孝匡さんは本当に出番が短くて大変だったのでは?
pppp公演とそれ以外でもなぜか観る機会の多い玉置さんですが、
追い詰められてあせる役が最高です。
浅野さんの鋭利なまじめさ、
広岡さんのその場に溶け込んでいるような自然な立たづまい
(杉村春子さんのようにみえることも)、
近藤さんも幸恵には真剣に尽くしているし
(普段に比べれば結構普通の役だったりする)、
さんも貢がせてはいても、作家先生のもとにいそいそと戻ったり・・・
みんな悪いことをしているのに、それぞれ、ある意味「まじめに」
やっていると感じるのが不思議。
「まじめ」の定義もわからなくなってきます。