期待度♪♪♪♪
世阿弥の能。前漢・成帝愛人は,趙飛燕にその場を奪われる。捨てられたわが身を,秋の扇になぞらえる。この故事がもとになっている。
扇を愛し,班女と呼ばれた花子は,吉田の少将と恋におちる。少将が去り,扇ばかり見つめて暮らす花子。「いかに狂女なにとてけふは狂はぬぞ面白ろう狂い候へ」。扇に目を止める男,やがて,その男は,少将であったことがわかる。
昭和30年に発表。日本よりも,外国で定評がある。
誰にも愛されない女,実子。彼女はいう。
私の望みのない愛を,私にかわって,世にも美しい姿で生きてくれる人,
を探している。
その人の愛が報いられないあいだは,その人の心は私なのだ。
その人とは,報いられない愛のために,狂人となった花子であった。
熊野(ゆや)は,企業家の愛人だ。母親が病気なので,北海道に里帰りをしたいという。でも,宗盛は花見にゆやをつれていきたいのだ。ゆやには,郷里に恋人がいて,金だけ稼いだら一緒になる気でいた。母親は健在だった。