間の女 公演情報 めがね堂「間の女」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    鑑賞日2017/10/31 (火)

    10月31日、ハロウィンの夜に拝見(55分)。

    ネタバレBOX

    永井久喜さん。
    デフォルトの、きょとんとした表情と、柔らかいメゾソプラノの声が、自分には大層印象深かったみたいで、今年2月の所属劇団さんでの舞台以降、彼女の出演舞台、拝見するのは、これで4作品目となります。

    さて、そんな彼女が演じるのは

    生まれて初めて男性に誘われて、彼の部屋を訪れる若い女A
    男性の部屋に後からやって来た若い女B
    江戸川乱歩の小説『お勢登場』の格太郎&お勢

    の4役。

    まず、永井さんは我が事として、男の部屋に行くまでの、女性Aの戸惑いぶりを、それはもうコミカルに語り始めます。
    やがて男の部屋に入り、いいムードになりかけた矢先…
    玄関からブザーの音! 予期せぬ来訪者?! …男は有無を言わさず女Aをクローゼットに押し込みます。

    急に鳴り出した大音響の音楽にかき消されながらも、クローゼットの扉の向こうから微かに漏れ聞こえてくる、男と、後から部屋に入って来た女Bのやり取り…
    女Aは、昔、読んだ江戸川乱歩の『お勢登場』の主人公・格太郎と、我が身が置かれた境遇を重ねます。

    子供とのかくれんぼで長持ちに隠れた格太郎。しかし、何かの拍子に長持ちの蓋の金具がかかり、永らく患っていた格太郎のチカラでは、内から長持ちの蓋を押し開けることが出来ず…不意に蓋が開いて、自分の顔を覗き込む人影が! 夫の病床を良いことに、
    浮気相手のもとに通い続けている、不肖の妻・お勢だったとはいえ、たとえ誰であろうと、助かった!と安堵する格太郎。が、何を思ったか、お勢はいきなり長持ちの蓋を閉め…

    語り手の心理は、格太郎からお勢へ、さらには、クローゼットの扉の向こうにいる女Bへと移っていきます。

    どちらかというと「ほのぼの系」な雰囲気の永井さんが語り手なため、結末が自明の『お勢登場』はさておき、とりわけ、クローゼットの扉を開けた女Aの目に飛び込んできた光景

    彼女が手料理を披露するために持参した庖丁を使って、女Bは浮気した男と刺し違え、辺りは血の海!

    という壮絶なラストが全く予測できず、オチの切れ味が一層増したかのように感じられました。

    それから、地の文を語る永井さんの穏やかな声のトーン。
    抑え目な照明の効果も合わせて、秋の夜長、枕元で文庫本をひもといているような心地に導いてくれました。

    期待した通りの、良い宵の時を過ごさせてくれた、永井久喜さんに感謝です。

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    2017/11/01 08:41

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