post script 公演情報 7contents「post script」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    チラシに書かれている通り”震災”をテーマにした公演。
    人は孤立には耐えられないが、孤独には立ち向かえる、とは某冒険家の言葉だったような。この公演は、(楽しい)思い出でに勇気をもらい、大きく一歩踏み出す物語である。
    物語は幼い頃の思い出に浸るという楽しい場面から、終盤に向かって今の状況へ収斂していく。予想がつかない景色の反転が巧み。その”怒涛のような波”…それが引けた時の大きな感動に心魂震える。

    練り上げた構想(脚本)、それを魅力的に観(魅)せる演出、そして”生きている”人々を生き活きと体現する役者の演技、そして舞台美術・技術が実に好い。途中の緩い笑いも、ラストの感動を引き出す妙味があった。
    これから観る方のためにも筋の紹介はごくわずかにとどめたい。
    (上演時間2時間10分) 

    ネタバレBOX

    舞台セットは、2階部を設け左右の階段で昇降する。上・下空間で時と場所の違いを表す。2階には1人の男が精神を病んで入院している、もしくは引篭り状態にあるようだ。一方、1階部は大勢の男女が賑やかに遊び回っている。それも小学校から大人までの各時代(中学、高校等)を順々に経て成長していく様を生き活きと描いている。幼い時に集っていた秘密基地(小林工業(株)第三工場)は、今では廃工場跡である。蔦が絡まり浮き輪などが散乱している。

    梗概…無邪気に遊ぶ子供達、それを遠い場所から傍観しているような1人の男。この対比が生ける人とそうでない人を強く印象付けるが、ラストはその思い込みが逆転していることに気づく。その落差の大きさが感動の大きさに比例する。何の変哲もない日常風景が、ある出来事によって一変する。それを無邪気な子供と病んでいる男の様子を以って描き出す、対置というか倒置した構成は見事。幼馴染、苦楽の思い出、無鉄砲な思春期等、時の流れを意識した演出は、市井の人々の暮らしそのもので、観ていて感情移入してしまう。そこに孤独な男の存在がどう絡んでくるのか関心を持たせる。二元的な構成は一瞬にして収束、いや終息という表現が相応しいか?

    子供達を演じる役者は実に見事に小学生から大人まで演じ分け、衣装や小物(ランドセル等)も含め違和感がない。東日本大震災により廃工場になり、その荒廃した場所で遊ぶ姿に隠された愛惜が胸を締め付ける。人の思いは生まれ育った場所(郷里)に宿る、そんな郷愁を上手く表現していた。男は立ち直れず、精神的なダメージを夢想へ逃げ込もうとする。しかし荒んだ心に生きている生々しい様子が描かれている。大人になった子供達はいつの間にか喪服姿。自分以外の幼馴染、親しい友達が犠牲になったと…。

    立ち直らせるための友情、その魂魄が現世へ。男が一歩踏み出す勇気をもったことを暗示するようなラストシーンは清々しさと力強いを感じさせる。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2017/10/27 17:14

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