しとやかな獣 公演情報 オリガト・プラスティコ「しとやかな獣」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    コツコツやる奴はご苦労さん?
    詐欺をされるのは御免だが、詐欺師を見るのは面白い。
    詐欺で生計を立てている一家というだけでも面食らうが、
    そのさらに上を行く人物の登場は痛快の一言。
    黒いことを明るく語る面白さがある。

    一方で、そんな連中と関わった生真面目な人物は、悲壮感たっぷりである。
    コツコツやる奴はご苦労さん、でいいものか。
    生真面目な人物(玉置孝匡)が色濃い疑問を投げ掛ける。

    とにかく戯曲が面白い。映画も観たくなる。

    緒川たまきの飄々とした色気と、浅野和之の無責任親父ぶり。
    2人ともキーパーソンとして存在感たっぷりである。
    他の人物も胡散臭さたっぷりで、物語を豊かなものにしている。

    ネタバレBOX


    息子の着服と、妾に行った娘の旦那への借金で生計を立てる一家。
    それをのうのうと受け取っている両親も両親である。
    戦後の貧しさから脱却してこの生活を手に入れたのだという。
    高度成長へのアンチテーゼという見方もできるだろう。
    (1962年に映画として公開されている)

    奇しくも同じ年に『ニッポン無責任時代』が公開されている。
    コツコツやる奴はご苦労さん、という植木等の言葉は、
    当時どのように受け取られていたのだろうか。
    その一つの答えが、先行作品である『しとやかな獣』にあると思う。

    という難しいことを考えなくとも、詐欺師を見るのは面白い。

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    2009/02/04 20:29

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