BLUE ~龍宮ものがたり~ 公演情報 teamオムレット「BLUE ~龍宮ものがたり~」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    伝説の浦島太郎…一見、幻想的な竜宮物語のように観えるが、実は今日的なテーマを含んでいる。夢、非日常の世界観は面白いが、観終わった後にはしっかり考えさせる余韻のようなものが残る。そんな観応えのある公演であった。

    脚本・演出(林将平 氏)、演技(ダンス)・美術・音楽・照明・衣装などの絶妙なアンサンブル(調和)に加え、観ていて楽しいと思わせる雰囲気、その観(魅)せ方が上手い。
    物語は、御伽噺の世界を借りて、人間社会の理不尽な差別、嫉妬、怒り、色恋などの衝動や葛藤を描く。不条理な人間(竜宮)模様が重層的に浮かび上がってくる。
    (上演時間2時間) 2017.10.9追記

    ネタバレBOX

    紗幕で仕切り、舞台奥に観える龍宮の世界、手前(客席寄)は現実・人間の世界という設定で、視覚的に解らせる。
    セットは、2階部を設え、簾のようなものが横一面に掛けられており、赤い欄干。上手側から下手側に斜めに階段が付けられている。正面から見える壁は白く、所々に海藻の絵が描かれている。上手側には出入り口で、赤い毛氈のようなもので囲われている。また天井には飾り提灯が吊るされている。

    梗概…時は昭和、それも敗戦から立ち直り高度成長期を迎えようとしている時。今の乙姫:藍(立原ありさサン)が海洋汚染を防ぐため、人間界から次郎(釣舟大夢サン)を龍宮城へ招く。招いた当初は思惑もあったが、次郎の優しさ思いやりに恋心が…。一方、この龍宮城、海の中でも差別問題があり、嫉妬・羨望などの愛憎が渦巻いている。

    テーマの重たさに比べ、観せ方が浮遊している感じだが、それは敢えて海中深い世界のこととして割り切ることが出来る。それよりも訴えたいテーマに注目し、表層的に見える体制維持・差別、一方、人間による海洋汚染・環境破壊という問題提起が大きく描かれる。一子相伝ではないが、浦島太郎から次郎へ投げかける言葉…「近々、水難の相が」に導かれて龍宮城へ行くことが示唆される。冒頭、その人物選眼が描かれるが、ラストはそれが回り廻るような構成で、取り組みには地道な活動が必要なことを見せる。何しろ今でも解決出来ずにいるのだから…。

    この公演は、多くのキャスト(ダンサーも含め)が、それぞれの役割を持っているが、出番自体で観れば限られたメンバーで展開している。それゆえ多くのキャストがいても混乱することはない。人間界は太郎・次郎の2人だけ。多くは龍宮城にいる姫、官女、城外の海の生き物で成り立ち、その衣装は華やかで特徴(役柄と衣装色の調和)あるもの。また宴会と称して舞うダンスも優雅であり力強さも感じる。

    誰もが知っている御伽噺をオムレット流にアレンジしたファンタジー・ヒューマンドラマは、テーマの捉え方、ビジュアル的に楽しませる、そうして照明・音響という技術効果を生かして観(魅)せる公演にしていた。その意味でエンターテイメントであろう。
    ちなみに、龍宮と人間界では時間の流れの早さが違うと…見た目は、初代:乙姫と太郎との間にそんなに差がないと思うのだが…。

    次回公演を楽しみにしております。

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    2017/10/07 12:46

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