犬神家の反則 公演情報 演劇ユニットちょもらんま「犬神家の反則」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    タイトル、もちろん「犬神家の一族」をもじっているが、内容は重厚ならぬ軽妙な感じで、肩の凝らない娯楽作品。とは言え、描いているテーマのようなものは、カルト的で少し怖く思える。
    (上演時間1時間30分)

    ネタバレBOX

    舞台セットは、衝立で仕切られているが、その奥に何か作られていることを思わせる。上手側に彼岸花が咲いており、上演前からスポットライトで照らされている。冒頭、殺傷現場のシーンから始まるが、暗転後、先に記した衝立が折りたたまれ、山奥の邸宅(居間)と思われる空間を作り出す。襖や中央に座卓が置かれている簡素なものだが、雰囲気は十分でている。

    物語は説明の通りであるが、探偵はマザコンのようでもあり頼りない。事件解決に向けて知的な素振りは全然見えない。表層的にはスラプスチック・コメディのようだが、実はカルト集団の内実と脱会という深刻な内容を描いている。何となくオウム真理教の一連の出来事を連想してしまう。その家の家族は、どこか”ぎこちなく”違和感を覚えるが、その理由が徐々に分かってくる。その過程が緩い推理になっており、先に記した表層コメディと相まって面白楽しく観ることができる。

    また、アクセントのように咲いていると思われた彼岸花の意味も説明され、謎を回収していく。その本来の推理を当初の緩い依頼事や車の故障という脇筋で包みながら展開する巧みさ。

    演技は、一人何役(性格の違う姉妹)も行う前野鳩子さん以外は、犬神家の家族と探偵とその母親という登場人物で分かり易く、人物造形が出来ていた。ただ、何となく探偵と母親が部屋内を走り(何度か一周または半周)回って退室している印象が強く、逆に言えばそれ以外の人物のシーンや動作が暈けてしまったように感じたのが残念。

    次回公演も楽しみにしております。

    0

    2017/10/02 16:56

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大