野外劇-誕生- 公演情報 88生まれの女たち「野外劇-誕生-」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    野外劇で、それも「誕生」と書かれていたので、興味本位で観に参りました。
    同窓生というわけでもなく同じ生まれ年の皆さんが集まったというのは、まさに奇遇ですねえ。その齢だけで集める意味なんてないのですから。(その辺りの年ならば、時代感覚とかの共有を求めて、集めることはあるだろうけれど)

    チラシやHPには書いてないんですが、パンフには出演者として「サクラ 石高由紀」とある、なので出演者は5名なのかなと思い、途中で客席から出てきたりするのかな、とか予想。大声で笑うハイテンションの女性がいたので、この方?でもアラサーにしてはちょっと老け気味かな。しかし、結果4名のまま。
    主催者上村さんに聞くと、石高さんは衣裳担当(これはどこにも書いてある)とのことで、紹介までしていただきました。あれ、最前列の私の横で観ていたお姉さんだ。割と存在感バチバチの方でしたので気なっていたんですけれど。
    あ、「サクラ」ってあのお客さんを呼ぶ!というのは冗談ですが。

    校庭の中心とガラクタの山が舞台。そこを半円形に観客が囲む。
    役者たちは、客席の隙間を縦横に(無作為に)入ってくるし、車が私たちの周りを周回する。正面(?)に作られた通路かなり花道仕様で、そこは存在のなかった世界への入り口でもある。舞台という制約を取っ払っている面白さがある。観客の視線が自由だし。でも、何かもう1つないかな。せっかく野外なんだから、もっと混沌というか、開放というか、何かこう観客の心を掻きむしらせるようなものが。

    2日間天気がもってよかったです。

    ネタバレBOX

    さて、物語は自己存在の話。それ自体を消そうとして集まった同い年の女たちの歌劇かつ会話劇。ただし、彼女たちはそれを望んだがゆえに、すでに完全に自由を奪われているということでもなく、元の場所への帰還を求めることもできる。
    案内人の女性は、同じ年なのだが、彼女たちよりずっと以前に存在をなくしたくてこちらに来ていたので、世代間ギャップがある。彼女たちは現実に存在しないので、こちらの世界で(おそらく便宜上)姿かたちはあっても、歳を取らない。
    その彼女も交えて、自らの存在を再度取り戻そうと意思を相互に育んでいく。オリジナルの歌も彼女たちの心情をよく吐露したものになっていたし、舞うようなしぐさと、地面に倒れ込む静寂は、この芝居、まだ若いけれどそれなりに人生の辛苦を舐めてきたであろう彼女たちが抱える虚脱感をよく表していたと思う。
    存在をなくした彼女たちに、名前は不要。しかし、木に名前を付ける行為に踏み出したときに、存在の尊さを確信したのだ。今ここに在る、ということは、初めからなかったということとは違うのだと。なるほどね。

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    2017/09/25 13:00

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