ボクとママと発達障がい 公演情報 NOS(Natural one style)「ボクとママと発達障がい」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    行政の啓蒙劇のような感じもするが、発達障がい(公演では「自閉症」)の子を育てている家族、また関わっている人々の大変さがしっかり伝わる感動作。
    基本的な構造は、会話劇。台詞は役者同士に向けられるのではなく、どちらかと言えば観客に向かって問いかけ、投げ掛けに近いように感じた。
    公演は,発達障がいの子がいる家族(特に母親)のブログの内容を基に制作していることもあり、その内容はリアルで世間ではあまり知られていないことが多いと思う。
    (上演時間1時間10分)【Bチーム】

    ネタバレBOX

    舞台正面に色々な絵が貼り合わされて、一枚の大きな絵を構成しているように見える。絵は肖像画、人物画が多く人との関わりの大切さを訴えているかのようだ。客席に向かって尖頭するように並んだカラーBOXソファー。そこにキャストが背中合わせに座る。客席寄りのテーブルにはパソコンが1台置かれている。天井には2本の傘が広げたまま、それぞれ正・逆に吊るされている。カラーBOXは、座っている人物がいる場所、立場等を表わしている。それを移動させることによって、状況表現する空間を演出する。全体的に幾何学的な構成に感じるが、BOXの移動によって状況の空間が見えてくるという巧みなもの。

    発達障がい(自閉症)は、その特徴が捉え難く、対応が遅れがちになるという。この病は先天的(遺伝的)ということで、何で自分の子が…そんな気持ちになり、自己責任(または配偶者に責任を押し付ける)に苛まれるところが辛い。また病は潜在的な人数も含め相当数いるらしいが、対処の仕方が知られていないことから、家族等にとっては悲劇的である。障がいは”個性”として受け入れることが大切だという。

    公演の狙い(「自閉症」の対処は個人で抱え込まないこと)はここにあり、その周知と啓蒙の色彩が強いのはこのためであろう。もちろん、物語はリアルな状況を次々に突き付けてくるから観応え十分であり、ラストは感動を誘う。リアルな状況は、家族という私的(人間的)な面と、公的(制度上)な面、という両面からアプローチしている。例えば、母親はキャリアウーマン(パソコンが象徴)として仕事、家庭を両立させていたが、子の施設・病院への付き添いで思うように働けなくなる。先天的な病のため夫婦間でその原因責を言い争う等。一方、公的な面では子が腹痛になり救急隊を呼んでも、内科・外科病院は自閉症(精神科が併設が必要らしい)ということでなかなか受入れてくれない。現場の救急隊員の焦りと苛立ち。

    場面転換の際、滴が落ちる又は雨音のような音が…とても不思議な気持にさせられる。演出は公演核の部分を伝える、そのことに集中させるためシンプルである。
    演技はゲネプロということもあったのか、少し硬い気もしたが、伝える内容の重さの方が上回りしっかり考えさせられた。

    次回(本公演)も楽しみにしております。

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    2017/09/15 19:49

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