チック 公演情報 世田谷パブリックシアター「チック」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    鑑賞日2017/08/25 (金) 19:00

    ドイツの人気作品の移入という。演出は雷ストレンジャーズの小山ゆうな。主役の少年二人は演劇界の今を時めく時生(柄本)、名前から七光な篠山輝信。ヒロイン役土井ケイト。その他(少年の父母など)あめくみちこ、大鷹明良。
    チック(柄本)はロシアから転校してきた異端児で、クラスのいじめられっ子マイク(篠山)の目を通して見たチックが描かれ、物語はマイクを語り部として進む。そして物語は、マイクが意識していたクラスの女の子から誕生会パーティの誘いが二人にだけ届かず、チックが誘った車の旅(当然違法)にマイクが同行した事から始まる。旅は二人に不思議で貴重な体験を重ねさせるが、それはチックやマイクを取り巻く学校での境遇(社会での境遇の縮図でもある)や、マイクに居場所を与えない家庭との対比で、実に新鮮で、淡々と描かれる事実の連なりがやがて、人も羨む勇気ある冒険に見合う豊かな収穫となり、マイクが手にしただろう事が分かる。ドラマ上それがはっきりと観る者に分かるようなアイデアがこめられているが、原作を書いた作家の眼差しを、恐らくは観客は知ることになるのであり、二人がやがて日常に戻り、闘う事となる場面で力になるだろうこの体験の本質が何であるか、についても、今や観客の知るところとなっている。
    ・・これを何と名づけるか。例えば「愛」と呼ぶとするなら、この物語の「大人たち」の姿を探すのに手間はかからない。自分の周囲、人物ばかりでなく疑念と監視を奨励する社会そのものに、これの欠如、排除を見出すことができる。何をもって「闘う」のか・・無力に思える自分たちの実情を思うとき、彼らの姿が脳裏に印象的に浮かび上がってくる。

    0

    2017/09/10 05:47

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大