あいだヶ原のほおずき祭り 公演情報 FunIQ「あいだヶ原のほおずき祭り」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    鑑賞日2017/08/08 (火)

    8日ソワレ(100分)を拝見。

    ネタバレBOX

    盆踊りは「大らかな性の交わりの機会」、ほおずきは「古来からの堕胎薬」という民俗学的な知識はたまたま有していましたので、鴻上尚史さんの『ものがたり降る夜』のような、理知的な視点からの「性の解放」を扱ったテーマかなと考えながら拝見していたら、あにはからんや。
    既婚・未婚・恋愛感情の有無さえ問わないフリーセックスに加えて、生者と死者の境さえ曖昧な、いわば内側ではボーダレス、でも対外的には(そうした文化・風土ゆえに)白眼視された閉鎖的なコミュニティがテーマの作品だったようです。
    でぇ、内容は理知的というよりもナイトメア…いや、夏の夕刻、縁側でうたた寝している間にでも見たような、善悪の区別も曖昧でどんよりとした、けれど何処か懐かしさも覚える、日本の原風景みたいな夢の世界でした。

    集落から出ていった女性や、集落に迷い込んできた亡霊に対して、集落で暮らす登場人物たちは居心地の良さを強調します。だからこそ、ご先祖の霊もココへ帰ってくるんだと。
    しかし、「アノ事件」の犠牲者たちの霊は戻って来てはいません。前述の集落を捨てて出ていった女性だけでなく、住民の中にも、このコミュニティーを支配する文化・風土への反感を抱く者がいます。
    ボーダレスゆえの不自由。生者であっても死者であっても、ヒトは水のように移ろいやすい存在であるがゆえに、境界という器があって初めて、常態を保てるんじゃないかな?…そんな感慨を抱きながら、舞台を観させて頂きました。

    役者陣。
    何度か舞台を拝見したことのある石澤希代子さん、木村圭介さん。
    ホームの舞台と同じく「献身」的なボケに徹せられた、木村さんの誠実な演技
    演じた人物の過去からの生き様さえ透けて見えた、石澤さんの説得力ある演技
    個人的には、主役ではないものの、このお二方の演技がとても印象に残りました。

    作品・役者陣共に、あのチケット代では申し訳ない程の逸品の舞台でした。

    【配役】
    水越基…辻貴大さん
    白野乙佳…西岡未央さん
    梅津直…安川まりさん
    白野亮太郎…日比野線さん
    高山泰幸…勢古尚行さん
    須田正樹…木村圭介さん
    白野冨美…和田碧さん
    原朱南…石澤希代子さん
    キン…​岸野健太さん
    庄司理久也…本井博之さん

    0

    2017/08/13 19:55

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大