グロッキィ・マリー 公演情報 ボタタナエラー「グロッキィ・マリー」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    自分も酒は嗜むが、ここ数年はグロッキィーになるまで飲まなくなった。少しネタバレするが、公演は”愛飲家”ならぬ”遭飲家”の物語である。劇場がある高円寺、偶然見かけた駅ラックにあったフリーペーパーの特集が「高円寺 酒場案内」であった(余談)。天候不順でなければ飲んで帰りたかったが…。
    (上演時間1時間20分)

    ネタバレBOX

    セットは、壁に凹凸ボードが貼られ、床は張り合わせがある不思議な空間。その壁際に椅子が何脚か置かれている。特殊なハウスであることは容易に想像できるが、そこで何を行うのか?一瞬、精神疾患の治療かと思ったが…。
    アルコール依存症のケアハウスでの日常がユーモアを交えて描かれる。物語は分かり易く、むしろ何となく先々が分かってしまうので物足りない。

    梗概…アルコール依存症者が共同で暮らし、アルコールに依存しないで暮らせるようになるまでの生活(性質・体質)改善を図る。ハウスを退所(卒業)する過程(課程)、そのシチュエーションを劇中劇として観せる。

    公演では、なぜアルコール依存症になったのか、一人ひとりの実情の掘り下げがない。それゆえ人としての愁思表現が弱い。アルコール依存から立ち直るという”今”が中心であり、その意味で表層的な描きに終始したようで残念。
    百薬の長と言われる”酒”その物を否定していない。むしろ人間の弱さがアルコールに向かわせているならば、その人が依存するようになった原因・理由をもっと明らかにし、再生していく展開にした方が感情移入し易い。また酒による害(例えば、冒頭の戦場を思わせるような幻覚等)がもう少しリアルに描かれると、ケアハウスの存在意義のようなものが鮮明になる。その結果、ハウスでの課程のクリアが切実なものとして受け取れるのでは…。

    役者は面白く演じていたが、先に書いた人間としての深みが見られない。演技というよりは、脚本、演出の課題であると思われるだけに、本当に惜しい。自分は人間再生物語、その展開自体は好きなだけに勿体無いと思った。

    次回公演を楽しみにしております。

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    2017/08/11 14:33

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