満足度★★★★★
100年前のアメリカの南部の冤罪事件を素材にしたミュージカル。と聞いただけで、今どきなんで? と思ったものだが、これがなかなか。最近のロックの犯罪ミュージカルではなく、歌詞に曲がついている(笑)正当なミュージカルスタッフの座組みがよく、ここの所、瞠目するミュージカルがなかった中では出色の出来だ。まず、キャスト。公共劇場との提携で充実している。岡本健一など役不足だろうが、やはりここに岡本がいるのがいい。流石、、齢を感じさせない石丸、堀内。さらにミュージカルを構成する各スタッフの力量をうまくまとめた。大木一本の裸舞台だがここに五色の雪を降らせる趣向は秀逸。ホリゾントの色もたまに変わるのが効果的、部分で使った斜めの照明もいい。これで舞台転換に時間がかからず、テンポもリズムも出て音楽が生きた。衣裳も少女の衣装で一本勝負。オケも台詞との絡みが多いのに、見事なものだ。コーラスの振り付けも無理していないところがいい。すべてをまとめきった新劇団出身の森新太郎に拍手。これで既成の、四季,東宝、ホリプロ、松竹いがいの新しいミュージカルの舞台を楽しめるだろう(これはホリプロも噛んでいるが、これで森の使い方もうまくなるだろう)
企画としては大衆迎合の最近の世相への時宜を得たもの、と言うことだろうが、それは少し買い被りで、今はアメリカでもやっていない旧作をよく掘り出して夫婦愛のミュージカルにして面白く仕上げたことを評価すべきだろう。