イタイ☆ホテル 公演情報 enji「イタイ☆ホテル」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    この時季(5月)は、新入社員がその業界用語を覚えるために四苦八苦しているかもしれない。この公演もその用語(隠語)をメモしているところから始まる。誰もが利用するホテルかどうかは分からないが、その事実となることは、誰にも等しくおとずれる。
    (上演時間2時間10分)

    ネタバレBOX

    タイトル「イタイ☆ホテル」から明らかなように、遺体が星☆になるまで滞在(一時保管)する、そんな場所で働く人々を描く。ホテルに滞在するのは死者であるが、この物語は、”死”を通して”生”ある人間-平沢夏美(嶋田あやサン)が成長していく過程をコミカルに描く。笑いの中にホロッと感情を揺さぶる、笑いで弛緩させて涙でギュと心と体をつかむ観せ方は見事であった。

    舞台のホテル名は「鈴風」、別名”天国に一番近いホテル”という。そこに葬儀社、葬儀コーディネーターが出入りしている。中央奥にスタッフルーム、客席寄りに来客用のテーブル、ベンチ椅子など。上手側(風)・下手(鈴)側は室内(遺体安置)になっており柩が納められている。この部屋の構造に感心(本当にあるのか?)させられた。

    先にも記したが、業界用語(隠語)の珍しさもあり、物語のつかみ方としては上手い。「山に行く=火葬場へ行く」等や、柩(ひつぎ)と棺の違いなど納得の説明。そういえば、遺体が大きく柩から足が出ていた。それを納めようとしていたが、柩=四角に囲まれた中に「久」という字が入っている、箱に人が入っていることを示す。一方、遺体が入っていないのは「棺」と言うらしいが、それを視覚的に表すところは上手い。

    死者と向き合う遺族や知人、その関係性によって感情の振れ幅が違うかもしれない。共通して言えるのは残された人は、死の事実を受け止め、生きて行こうとしている。その姿をしっかり描く。
    一方葬儀は、それを生業としないかぎり非日常の出来事。セレモニーの執り行いは、思考停止状態の中で業者が粛々と進めて行く。死者への思い、遺族の思いとは別のところで商売(心)が蠢く。
    表層的にはコメディであるが、誰もが迎える”死”、それに向かって生きる。単に存在する、または生きている意義のようなものまで感じさせる公演、実に観応えがあった。

    次回公演も楽しみにしております。

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    2017/05/16 19:22

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  • ながいちゃ~ん さま

    楽しめました。ありがとうございました。
    次回公演も楽しみにしております。

    2017/05/26 17:39

    ご来場ありがとうございました!

    2017/05/23 18:49

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