虹彩~IRIS~ 公演情報 ICHIGEN「虹彩~IRIS~」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    舞台はある無国籍な世界。その世界観は場内に入った途端、早くも物語に引き込まれるような雰囲気がある。地球か異星か、過去か未来か判然としない中で展開する話は寓話のようだ。廃墟のような場所、その閉塞的社会の中で未来を信じ明るく生きようとする主人公、その陰陽が対照的で印象深い。

    混沌とした世界は、未来(または異星)から来た2人の行動から始まるようだが…それぞれ自分が信じる道(社会)に身を投じ、その結果、未来の原因となる状況(殺戮・恐怖、打算と貧困)へ影響を及ぼす。一見、循環型の物語は、プロット・スタイル、知性・躍動という公演を面白くさせる要素が備わっており、楽しく観劇した。

    SFの古典的要素(現実の生活)を集めたようだが、その表面下に隠れているのは混沌(現在の日本)からの脱出、未来への希望である。見慣れた光景に、現代社会に対する新たな”未来”を吹き込むような。この公演イメージは、映画「ターミネーター」の未来・過去の循環型の構成を連想させる。

    ネタバレBOX

    舞台美術は廃墟イメージで、衣類または布切れが乱雑に置かれ、不安・不穏な雰囲気を漂わせている。

    梗概…孤児院育ちのアヤメとトトは泥棒家業をしながらスラム街で暮らしている。その世界を支配していたのは東・西のギャング団。冒頭、その東の本拠地が襲われ壊滅する。たまたまその場に居合わせたアヤメが殺し屋と間違えられ、賞金稼ぎに狙われる。その状況を孤児院の仲間から知らされる。そして、いつの間にか西のギャング団とも...何とそこにいたのは、孤児院での母親代わりや友人達であった。アヤメはトトと別れて新しく知り合った者達と旅立ちを…。一方、宇宙から来たホシノ、アキラはこの世界から元の世界へ帰りたいと願い、それぞれの行動を起こす。

    生きたいという姿を躍動感あるアクションで体現する。物語は決して明るいものではないが、主人公のアヤメ(環みほサン)の愛らしい魅力が、アクションと相まって劇場全体が一つの祝祭的空間に包まれたようだ。

    テーマの訴えは、役者が正面を向いて客席に語りかけ、次の瞬間には舞台上の人物と対話する構成も巧み。演技は重厚を表す人物と主人公と孤児院仲間の軽妙という対比した見せ方も工夫している。一辺倒ではない見せ方、そのどちらにも人のキャラクターが立ち上がる。
    登場人物が多いが、衣装やメイクで識別でき、さらにはアクション、武器、ダンスというソロシーンを用意し観(魅)せるに力を入れている。

    少し設定を理解するのが難しいように思う。例えば、地球における時空もしくは次元が違うのか、地球外の生命体(宇宙から来た)が人間の姿なのか、逆に地球人が別の星へ行ったのか?混沌とした世界観を描くためであろうが…。

    次回公演を楽しみにしております。

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    2017/05/05 17:39

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