春の朗読会:文学~近代小説の味わい 公演情報 演劇集団アクト青山「春の朗読会:文学~近代小説の味わい」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    たいへん楽しい企画でした。

    ネタバレBOX

    戦争と暗黒の時代に,過酷な抑圧と戦いながら,言論統制と検閲の目をかいくぐりながら,宮本百合子は作品を書いた。戦時下の日本社会,そこで人民の前衛闘争を描くことを,文学の使命だと信じた。そのような宮本百合子のことを,不破哲三は講演で何度もとりあげた。そして,それを,一冊の本にまとめている。

    侵略戦争のさなか,具体的な戦争批判は果たしてできたのだろうか。宮本百合子は,敗戦後の日本において,歴史的転換期にもっとも役にたつ性格を持った文学ではなかったか,と不破氏は力説する。占領期においても,その表現には,「いりくんだ」表現を使うしかなったとも述べている。アメリカ占領と反動勢力は,どこか底での手をつないでいた時代というべきか。

    宮本百合子が,プロレタリア文学運動に参加したのは,1930年のことである。1932年には,宮本顕治と結婚している。12年間に,獄中に届いた手紙は,800通を越えた。宮本百合子自身も,検挙とか,留置の経験がある。宮本百合子の,文章は,どんな抑圧,どのような逆境にも負けない確固とした精神がすべての文章にみなぎっていた。

    日本中が牢獄的であった,そんな時代がかつて日本にあった。転向と屈服と迎合の流れに,宮本百合子ひとりは,正気の眼で最後まで戦った。宮本百合子は,バルザックが好きだった。ユゴー,そして,トルストイも。「作家が,永い生涯の間で何度発展をとげるか,その時にどの位作品を残してゆくのか,これは大なる研究に値し,作家必死の事柄です。」51年の生涯!

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    2017/04/29 16:08

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