快楽の谷 公演情報 劇団 背傳館「快楽の谷」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    同人サークル、エロゲーを作っている集団における人間関係や運営を巡る思惑などが歪んで描かれる。チラシの冒頭に「あらすじなんかありません」という卑下か挑発か分からない刺激的な文が記してある。それでも一生懸命制作したと続けている。

    テーマは、オタクカルチャー、サブカルチャーという”文化”の創り手、その若者たちが苦悩する様が描かれる。
    (上演時間1時間20分)

    ネタバレBOX

    舞台セットは、エロゲーサークル事務所内。上手・中央にスチールデスク2つ、その上にパソコン。下手側奥は喫煙スペース、客席寄は応接ソファー、椅子が置かれている。いくつかの本棚には雑誌類。全体的に雑然とした感じがよく出ている。

    社会、それもインターネットという姿が見えない相手からの評価に一喜一憂する重圧が彼らの精神を蝕んでいく。言葉の不安と行為(タバコを腕に押し当てる自傷-焼)の怖さも見える。彼らが耐えるためのアジール(避難所=サークル)がさらなる重圧を生み出していくという矛盾。その後は戦線を縮小し守勢することに汲々とした姿になる。エロゲー本がだんだんと整理されていくに従い心が解放されていくようでもある。

    物語としては面白いが、いまひとつサークル内の人間関係や立場が掴めない。そもそもどんな不始末があったのか、状況が説明不足の感がする。それゆえ物語の妙味となる人間関係の歪み不気味さなど、心に抱える問題が登場人物の視点ごとに変わり薄い印象になったのが残念である。

    演技はバランスあるようだが、せりふが被り(喫煙スペースと執務室)聞き取り難い。ラスト、エロゲーを創っているのは、SEXが苦手だから…生身の人間と向き合えないような印象を受けるが、そこに真のサブカルチャーが生まれるのだろうか?

    次回公演を楽しみにしております。

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    2017/03/14 15:54

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