STORE HOUSE Collection No.9 アジア週間 公演情報 ストアハウス「STORE HOUSE Collection No.9 アジア週間」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    日本 『PARADE』
    パレードということであるが、上演前からガムラン音楽のような音色が…。丘へのピクニックという説明である...人びとは丘に立っていたが、今その記憶は曖昧だ。例えば、森の中で木の葉を踏む音を聞きながら、波打ちぎわで絶えずかき消される自分の足跡を抱きしめる行為のようなものだ。人々の姿も、丘の形状も思い出すことはできないが、現実はいつだって曖昧のままそこにある、と。
    歩くという一律的な動作とその行為をする目的の曖昧さが対照的に描かれている。
    もっとも自分は別の印象を持って観たが…。
    (上演時間1時間15分)

    ネタバレBOX

    公演が始まるとキャストが無表情で客席通路から登場する。そして素舞台を歩き回る。時に足踏みし足音が大きくなる。不安・不穏のようなピアノの音色。全員が異なる自由な服装だが、リュックザックを背負い帽子を被っている。動作も歩き回るだけだが、スロー、アップテンポと自在である。疲れ互いに助け合いながら上る。そして頂で抱き合って喜ぶ姿、その肌を叩きあって乾いたパシッという音が響く。

    自分は、戦時中、それも原爆投下された街の住民を想像してしまう。日常の穏やかな生活が原爆によって阿鼻叫喚、焦土と化した街並み。熱風で服を脱ぐ、叫ぶというトランス状態を経て”生きている喜び”を感じお互いを労わる。そんなイメージを持った。

    この公演は、台詞らしい台詞がある訳でもなく、身体表現に込められたメッセージを自由に解釈し、舞台上で繰り広げられる世界観に自分の思いをイメージし当てはめて楽しむことが出来る。何かを表現する、その身体を通して可視化してイメージを膨らませる。

    身に着けている服・小物、髪といったファッションは演技、ダンスパフォーパンスは異界のものではなく、日常と繋がりのある展開を提示してくる。音楽と身体表現のコラボ、その聴覚・視覚的な調和には必ずしも言葉(台詞)がなくても物語を紡ぎ出せると。

    案外、事前に説明文を読まず、自分の感性に浸り無常の喜びを噛みしめたいところ。
    次回公演を楽しみにしております。

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    2017/03/11 13:00

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