満足度★★★★
2014年に行なった再演の地方ツアー(神奈川、北海道)、東京にもお立ち寄りが一般対象で2ステージ。1日目の夜公演は受付体制悪く15分押しでの開演。
この戯曲は印象的だった(非の打ち所がない)ため、かなり期待を脹らませてしまったのだが、まず上々であった。青年座の新劇風演技が前半では「人物判別」の邪魔をしたものの、大きな舞台での表現としては勘所を押さえ、「つらい現実」(文字にすれば平板だが)が、リアルに押し寄せて来る怖さ、悔しさ、切なさ、哀しさがくっきりと描かれ、彼女らの内心に共感し思わず涙であった。
「ザ・空気」も「歌わせたい男たち」も、端からみれば滑稽だがその状況の渦中にあって右往左往し、四苦八苦する、彼らの中での必然性が、否応にも理解させられる。
自分自身にしてからがこの時代という状況の中で右往左往している存在であって、それはそれは哀しい光景なのだろう、とは思いたくないから思わないのだが、多分そうであるな。そう思った方が良いのだ。あまりに赤裸々に、最後には己の本当を話さないではいない彼女らの潔さの眩しさ、美しさが、そのままメッセージである作品。リアルさに裏打ちされた分、女学生の苦悩しながらの、既に敗北を実感しながらの行動さえ、自分らはやれてるの? そうマジに問うてしまう。ドラマの中の人物は私の実感を伴った記憶に刻まれてしまった訳である。