満足度★★★
自分が子どもの頃には、テレビ・映画でも結構、取り上げられていた…
今ではトンとお目にかからなくなった「反戦」をテーマにした硬派の作品。
当日、大勢来られていた青学のゼミの学生さん達、同じ年代の当時の若者たちの「凄」春、どう感じ・受け止めたんでしょうか?
演じるのは、作品の性格上、若手中心?とはいえ、充分に訓練を施された俳優座の役者さんたち。
ホンはもちろん、舞台美術・劇伴もきっちり作りこまれた見ごたえのある舞台。
加えて、作品のモデルとなっているのは、福岡県大牟田市かその近郊にある三井三池炭鉱の化学工場。
劇中、飛び交う北部九州の方言には、福岡出身のオイラ、えらく郷愁をそそられました(苦笑)。
そして何よりも今回の公演の趣旨。
ヒトによりご意見は様々でしょうが、右傾化する今の日本への反対の意思表明。
あの悲劇を繰り返してはいけない!という関係者の皆さんの思い、オッサンのオイラには充分伝わってきました。
で、でもネッ、そのうえで、なんですけど、名作とはいえ、1958年初演の作品でなく、どうして、今の若いヒトの目で往時を検証した、新作で臨まなかったのかなぁ?
終戦前後の悲劇や戦後の希望…民主的労働組合の創設の様子に触れた『反応工程』ですが、この舞台で描かれた社会のその後(三池争議)に思いが至り、終演後、個人的には少し複雑な気分になったことも正直に白状しましょう。
来年の今頃、出来得れば、平成生まれの脚本家による「既視感」「しがらみ」のない新作、俳優座さんの手で上演して欲しいなって思った夜でした、とさ。